インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

教師の心学生知らず

Quizletという単語学習用のオンラインアプリがありまして、私は公私ともにお世話になっています。「私」のほうは、もっぱら趣味(≒ぼけ防止)のフィンランド語の単語を覚えるために使っています。今のところ2000個近くの単語を登録して繰り返し覚えていますが、いつも最後の10%ほどを残す段階になって、なかなか記憶が進みません。名詞や動詞はともかく、副詞や形容詞のような抽象的な言葉が特に。

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https://quizlet.com/

「公」というか仕事でも使っています。通訳クラスの課題でグロッサリー(用語集)を作って、学生さんたちとシェアしているのです。このQuizletは、入力した文字を読み上げてくれる機能があって、特に中国語の読みはほとんど完璧です。これは中国語の漢字の読み方が多くの場合一義的に決まっているからで、複数の読みがある漢字でも単語単位になればQuizletさんはほぼ正確に読み上げてくれます。

フィンランド語は、これはもうアーコセット(アルファベット)だけですから100%完璧に読み上げてくれます。単に文字だけでなく、音つきの単語帳になるわけで、しかも「単語カード」という機能ではスマホの画面をタップして左右にスワイプするだけでカードをさばくことができるため、画面を見ないでも音だけで単語帳を使った学習ができます。つまり歩きながらでもできるんですね。これは本当に便利です。

一方で日本語は漢字の音訓まで正確に読んではくれないので、学生さん向けに教材として作る際は、一つ一つ日本語の音を確認して、読みがおかしなものやイントネーションが不自然なものは私が自分で吹き込んでいます。この録音機能は有料版にしかないので、私は年会費を自腹で支払って使っています。Quizletにはこのほかにも学習モードがたくさんあって、スペルを打ち込んだり、ゲーム感覚で単語を覚えたりと語学学習にはうってつけのアプリなのです。

……なのです、が。

かんじんの学生さんは、あまりこのQuizletを活用してくれません。教師用の管理画面からは個々の学生さんの学習進捗状況を見ることができるのですが、例えばあるクラスではこんな感じです(アイコンとアカウント名はぼかしています)。泣けてきます……。

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まあ、私だってその昔は本当に不真面目な学生でしたから、あまりエラそうなことは言えず。いつの時代もこんなものなのかもしれません。本当に“可憐天下教師心*1“ですねえ。

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https://www.irasutoya.com/2018/03/blog-post_56.html

*1:「親の心子知らず」ならぬ「教師の心学生知らず」。