インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

なかなか覚えられない単語をどうやって定着させるか

私が使っているこの「はてなブログ」には「週刊はてなブログ」というブログがありまして(ややこしい文章ですみません)、はてなブログ編集部が選んださまざまなブログが紹介されています。中でも私が好きなのは、毎週一回発表される「今週のはてなブログランキング」。主に「はてなブックマーク」のついた数で判定される、人気ブログ記事のランキングです。

このランキング上位に入っているブログ記事は、さすがに多くの人から支持された記事だけあってほとんど「はずれ」がありません。私のブログとは雲泥の差です。しかも毎回かなり変わった、というか普段目にしている新聞や雑誌などではまずお目にかかれないような視点の記事が多くて、面白い。自分の興味の範囲に頼ってばかりいると、だんだん視点が凝り固まってくるような気がしているので、(自分にとって)とんでもない角度から話題を放りこんでくれるこうしたランキングは貴重です。

今週のランキング1位は、こちらの記事でした。
www.furomuda.com
ご自分の電子書籍シリーズ、その第一巻を無料公開されているという形の記事です。科学的学習法、それも外語の単語を覚える最も効果的な方法について書かれているので、とても興味を持って読みました。ちなみにこの記事、ものすごく長いです。

現在趣味で、というか「ボケ防止」のために学んでいる「悪魔の言語」フィンランド語。毎日通勤時にQuizletで単語を覚えていますが、何度繰り返しても覚えられず、定着しない一連の単語があります。一番定着が早いのは名詞。たぶん具体的なビジュアルと紐付けて覚えているからでしょうね。その次が動詞。これもイメージが浮かびやすいですし、語尾がみんな「a」や「ä」で終わっているのでそれが目印にもなっています。

一番定着しにくいのが、やはり形容詞や副詞、それも抽象的な単語です。副詞は形容詞の後に「sti」という語尾がついていることも多くて目印にはなるのですが、似たような綴りでぜんぜん違う意味のものも多くて、なかなか覚えられません。本当は文章や文脈と合わせて覚えていくのが王道なんでしょうけど、忙しい暮らしの中でそこに大量の時間を割くのも難しいので、結局通勤時間のQuizletだけになってしまっています。

ところでこのQuizlet、いろいろな機能があるのですが、私は「単語カード」を主に使っています。これは誰でもやったことがあるであろう紙の単語カードをスマホで再現したもので、画面に出てきた単語をタップすると、画面がひっくり返って意味が現れます(Excelファイルを流し込める)。正解なら右、不正解なら左にスワイプしていって、全部終わると今度は不正解のものだけが現れる。そうやって不正解の単語をつぶしていくわけです。単語カードと同じ仕組みですね。Quizletは音声読み上げ機能もあるので、スマホの画面を見ずにタップとスワイプを繰り返して、音だけで単語を覚えていくこともできます。これはなかなか素晴らしいアプリです。

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右側の画面は、不正解だった単語をつぶしているところ。いまのところ1600単語くらい入力しているうち、たぶん半分から3分の1くらいの単語がまだ定着していません。それで何度も不正解のものだけに絞って覚えていこうとしているのですが、なかなか定着しないのです。

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https://www.irasutoya.com/2015/06/blog-post_88.html

ところが上掲の記事には驚くべきことが書かれていました。この記事に紹介されている、認知心理学者のJeffrey D. Karpicke氏とHenry L. Roediger氏の実験によれば、私がやっているような不正解の単語だけに絞って繰り返し覚えながらつぶしていく方法、たぶん多くの方も同じようにしてきたであろう方法は、学習効率としてはあまり良くないということなんですね。

詳しくは上掲の記事をお読みいただきたいのですが、結論から行くと「弱点勉強・全テスト」、つまり覚えられない単語を学んだら、その都度全単語をテストするというのがよいのだと。う〜ん、これは私たちの認識とはかけ離れていてにわかに信じがたいのですが、その認識や認知のゆがみこそ、科学的な知見が明らかにしてきたことなのだそうです。

ということは、Quizletで全単語に一度あたって、次に不正解だった単語をいちど全てあたったら、そののちにまた全単語に戻るのがいいというわけですね。早速やってみよう。……とはいえ、1600以上も単語があるので、そうした繰り返しを行うまでに何日もかかってしまうのが悩ましいところです。短い通勤時間だけでやろうというのがどだい無理筋なんですけど。