インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ヒゲをたくわえてみた

能楽師は「ヒゲ」を生やしちゃいけないんだそうです。特に主役をつとめるシテ方は老若男女に亡霊など人間以外の存在も演じますから、かなり「キャラ」が固定されちゃうアイテムであるヒゲは、たぶんご法度なんでしょうね。

でも面(おもて・能面)をつけるんだからあまり関係ないんじゃないのと思うものの、直面(ひためん)、つまり面をつけない曲もありますからね。それに面はだいたい実際の顔よりやや小体にできていますから、若い女性を表す小面(こおもて)をつけているのに顎ヒゲがのぞいていたりすると、良き景色にならないのかもしれません。

いっぽう我々のような趣味で能の稽古をしている素人衆は、とくにご法度ということもないようです。実際、ヒゲをたくわえてらっしゃる方もいます。でもお弟子さん方のお顔をつらつらと思い出してみるに、立派なヒゲをたくわえた方はあまりお見かけしないような気がします。このあたりは流儀(流派)やお師匠さんによっても違うのかもしれません。

昨日はお師匠宅で今年の初稽古だったのですが、実は私、この年末年始にヒゲをたくわえておりました。もとからヒゲは濃い方ですが、これまでたくわえたことはなかったので、いったいどんな感じになるのか興味を持ったのです。じゃんぽ〜る西氏のマンガで紹介されていたような、フランス人の“Barbe de trois jours”みたいになるかしらと思って。

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▲じゃんぽ〜る西・カリン西村『フランス語っぽい日々』(48ページ)

しかし私の場合、一週間たってもこんな感じにならず、頬の部分はかなり薄いままでした。逆に鼻の下と口の下、それにアゴにはかなり伸びました。しかも半分は白髪で「ごま塩」というか、無精ヒゲそのもの。でもって中高年のオジサンですから、ちょっと目も当てられません。本音かどうかはわかりませんが、妻は「まあ、いいんじゃない?」と言ってくれましたが。

今年は帰省を断念したので、元旦に九州の両親や妹の家族とLINEのビデオ通話で「お年始」をしたのですが、その時妹夫婦は私のひげづらを見て「平井堅みたい」と言っていました。ひらいけん? それは喜んでいいのですか? 結局昨日までに思ったような感じでヒゲは生え揃わず、能のお稽古もあるし新年の仕事も始まるしというので、全部剃ってしまいました。一応ヒゲ用のトリマーも2000円程度のをAmazonで見つけて買っておいたんですけどね。ま、これは「鼻毛カッター」のアタッチメントが付いていますから、そっち専用にします。

本当にヒゲを生やそうとするなら、もう少し腰を据えて長期間かけなければいけません。ネットの情報によると、十分に蓄えておいて、ヘアサロンなんかでかっこいいスタイルに整えてもらうのがいいんだそうです。コロナ禍で職場でもマスク姿がデフォルトの昨今、密かにたくわえ続けて、そのうち衝撃のデビューを飾ろうかなと考えています。あ、お能のお師匠はどうおっしゃるかわかりませんが。

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https://www.irasutoya.com/2014/11/blog-post_52.html