引き続き受動態を学んでいます。受動態というと、大昔に学んだ英語では「be動詞+過去分詞」で「He drew the picture. → The picture was drawn by him.」みたいな、日本語で言えば「〜される」というまさに受け身的な捉え方をしてしまうのですが、フィンランド語のそれはかなり違った様相を呈しているのでした。
いつもお世話になっている『フィンランド語文法ハンドブック』に沿って簡単に復習しておくと……
1.「〜しましょう」の文
Mennään ravintolaan!
レストランへ行きましょう!
※文頭に受動態の形を置くと、呼びかけの文になり、しかも現代フィンランド語では頻繁に使われる表現とのことでした。一番最初に覚えたあいさつの「Nähdään!(さようなら)」もこの形で、ようは「また会いましょう!」という呼びかけなのでした(Nähdä:会う)。
2.「〜する」の文
Japanissa syödään riisiä.
日本では米を食べます。
※受動態ということで、つい「日本では米が食べられています」と理解したくなりますが、この文はむしろ「人々が、彼らが、私たちが〜する」というとらえ方をすべきで、つまり「誰が」という主語を明確に表現しない文だということでした。
3.「私たちは〜する」の文
Me käydään Suomessa kahden viikon kuluttua.
私たちは二週間後にフィンランドを訪れます。
※現代フィンランド語では話し言葉で「私たち」が主語の時、この受動態が頻繁に使われるとのことでした。しかも否定には必ず「ei」だけが使われると。つまり「Me ei käydä Suomessa(私たちはフィンランドを訪れません)」となって、本来なら「Me emme käy Suomessa」となるべきなのに何だかヘンなことになっているのでした(ei は三人称単数の否定辞ですし、käydä は結果的に原形に戻ってしまっています)。これ、正式には誤りだとされているものの、実際にはこの言い方をするのが一般的だということでした。
受動態過去形
さて、これをふまえた上で、受動態過去形の作り方を学びました。受動態現在形の後ろから4つの綴りを「tiin」に変えるのですが、その時「逆転」が起こります。具体的には……
原形 | 一人称単数 | 受動態現在形 | 逆転 | 受動態過去形 |
nukkua(眠る) | nukun | nukutaan | t → tt | nukuttiin |
ottaa(取る) | otan | otetaan | t → tt | otettiin |
syödä(食べる) | ✕(vA以外は伸ばしてn) | syödään | d → t | syötiin |
ajatella(考える) | ✕ | ajatellaan | ll → lt | ajateltiin |
tykätä(好む) | ✕ | tykätään | t → tt | tykättiin |
nousta(上がる) | ✕ | noustaan | st は不変化 | noustiin |
これらは、受動態現在形の最後が「taan/tään」のときは「ttiiin」に、それ以外のときは後ろから4つの綴りを「tiin」にする。ただし「staan/stään」だけは単に「stiin」にして「sttiin」とはしない、とまとめられそうです。
Saunan jälkeen juotiin olutta.