東京は新宿の「ビックロ」近くに、いつも行列ができているラーメン屋さんがありまして、見たところ中高年にうれしい「淡麗系」の醤油ラーメンらしく、気になっていました。もう数週間前のことですが、所用で近くを通りかかったのが開店時間の11:00少し前くらい。見るとまだそれほど行列ができていなかったので、この期を逃すまじと並んで食べてみました。
https://www.irasutoya.com/2018/03/blog-post_790.html
私はこのお店、そのたたずまいやメニューなどを見て、個人営業のいかにも「求道的」なお店だと思っていました。ところが昨日の朝、たまたまつけたテレビの番組でこのお店が「ステルスFC(フランチャイズ・チェーン)」の本店だと知りました。番組によると、このチェーンはチェーン店であることを隠して(ステルス)各地に展開しているんだそうです。
チェーン店を出すときは、まずスタッフを本店でラーメンの作り方を研修させ、本店で一括生産した麺やスープなどの食材を卸すようにします。その一方で店名から店のデザインからメニューから価格まで変えて、一見チェーン店とは分からないように(個人営業のお店のように)見せているのだそうです。チェーン各店からは毎月「プロデュース料」を徴収する一方、各店主は独自のメニューも開発でき、まるで自分のお店のような「やりがい」も持つことができる……。番組ではそんなふうにステルスFCのメリットが紹介されていました。
確か『餃子の王将』もメニューの一部をチェーン各店の店主に任せて「やりがい」や各店舗の個性を持たせていると聞いたことがあります。でも『王将』はチェーン店であることを隠してはいないけれど、ステルスFCのほうは、こう言っちゃなんですけどこだわりの個人営業店だとお客さんに誤認させているわけですよね。実際番組では、ラーメン好きだという小学生くらいの女の子が、スタッフに「実はチェーン店なんです」と言われて困惑した表情を見せていました。
番組じたいは、ステルスFCが「個人店以上チェーン店未満」で「儲かる」頭のよい手法だというトーンで紹介されていましたが、私はこれを見ていて「逆効果なんじゃないかなあ、よくここの経営者は取材をオーケーしたなあ」と思いました。だって、個人営業店だとばかり思っていたらチェーン店だったなんて、ラーメン大好き小学生さんと同じで困惑するしかないじゃないですか。これをテレビで放送してしまうのは、営業的にかなりマイナスだと思うんですけど。
でも今あらためて店名を見たら、「本店」と書かれています。ということは「支店」もある、つまりチェーン店だということですよね。単に私が個人営業の「求道的」なお店だと思いこんでいただけということですか……。