インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

「自制」にたよらず「福流」をめざす

昨日は中国語圏のお正月「春節」でした。でも私の職場は日本の暦で動いているので関係なしに授業があります。中国語圏の生徒さんも「元日」から学校にやってきます。正月気分もなにもあったもんじゃないですね。お疲れさまです。

午前中の仕事を終えてすぐに横浜の語学学校へ向かいました。今度は自分がフィンランド語を学んでいる教室です。いつもギリギリで教室に到着するのですが、昨日はJR東海道線が車両点検か何かで遅れていて、間に合いそうにありませんでした。私は「いらち(関西弁で、性急で落ち着きがないこと)」な人間なので、こういうときはすぐに「イヤになっちゃう」。新橋駅のホームで電車を待ちながら「もう今日は学校へ行くのをやめて帰っちゃおうかな」などという考えが脳裏をよぎりました。

それでも「いやいや」と思い直して電車に乗って、「得到」というスマホアプリの『羅胖精選』という番組を聴き始めたら、昨日のテーマは「立的Flag總是實現不了,怎麼辦?」でした。「立Flag」は日本語の「フラグが立つ」と同じで、なにかが起こる条件が整うという意味ですけど、ここでは単純に目標を立てるくらいの意味でしょう。つまり「立てた目標がいつも実現できずに終わっちゃう。どうすればいい?」ということですね。

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いやあ、シンクロニシティだなあと思いました。だってまさにその時、私は「毎回語学学校へ行く」という目標を放棄しようとしていたんですから。

番組では心理学者の陳海賢氏がこの「お悩み」に答えています。氏はなにかの目標を実現しようとするときに大きな「自制」の力を必要とするという考え方が間違っているのではないかとおっしゃいます。私たちはよく「継続は力なり」などといって、努力し続けること、つまり途中で放棄したくなる自分を制してこそ目標を実現できるという考え方をしますよね。

でも往々にしてその努力は継続せず、いわゆる「三日坊主」に終わります。ダイエットにせよ、筋トレにせよ、語学の勉強にせよ。でも陳海賢氏は、なにかの目標を実現するコツは「自制」の力に頼るのではなく、むしろ「自制」の力を必要としない状態に自分を持っていくことだというのです。

「自制」の力に頼って努力しているうちは、そこに必ず挫折の可能性が潜んでいる。一度でも怠けてしまったら、そんな自分が許せずに全部投げ出しちゃう。本当はちょっとくらい怠けてしまったとしても、気持ちを切り替えて続けていくことこそ大切なのに。だから気持ちよく続けていける状態(陳海賢氏は「福流(flow)」と言っています)をどう作るかを考えましょうと。

これは「習慣化」や「ルーティン化」、つまり、何かが習慣化してしまうと、逆にそれをやらないことが気持ち悪くて、結果長く続けられるというのと同じですよね。私は体幹レーニングや筋トレがすでにそういう状態にありますけど、フィンランド語の学習はまだそこまで行っておらず、いまだ「自制」に頼っているのでしょう。だから電車が遅れて遅刻しそうというちょっとした「挫折」で全部を投げ出しちゃおうかという誘惑に駆られる。

結局10分遅れでフィンランド語の教室に到着したら、とある日本人の動画を視聴していました。この方はGen Takagi氏で、フィンランドに移住してコメディアンを目指しているんだそうです。とても流暢なフィンランド語を話しておられますが、先生によると毎日決まった量の単語や文法を復習すること(それもほんの数十分程度)を毎日続けてここまでに至ったのだそうです。まさに「福流(flow)」の状態を自ら作り出してこられたわけですね。

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これもまたシンクロニシティでした。こいつは春からめでたい。今年も「自制」の力ではない「福流(flow)」の状態に自分を持っていけるよう心がけたいと思います。祝大家鼠年吉祥!