インタプリタかなくぎ流

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新刊書の推薦コメント

新刊書の車内広告や店内POP、あるいは本についている帯などに、惹句とともに読者の感想が並んでいることがありますよね。著名人による「○○氏、推薦!」みたいなのもありますけど、それ以外にも「40代・女性」とか「東京・STさん」のように匿名で、「目からウロコが落ちました!」とか「上司にホメられました!」とか「イッキ読みしました!」みたいなオススメのコメント。下の写真は、先日通勤電車内で撮影したものです。

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私はかねてからこういう広告の感想を見かけるたびに「怪しいなあ……」と思っていました。だって、発売されたばかりの新刊書だというのに、一般読者の感想がそんなにたくさん載るというの、変じゃないですか。その一般読者は、正式な発売前にどこでその本を手に入れて、なおかつどのような形で出版社にその感想を伝えたんでしょう。

昔は本によく「愛読者カード」みたいなハガキが入っていたものですが、メールやチャット全盛の現代、あまり見かけなくなりましたし、それにしたって新刊書が世に出てからしばらく経たなければ集まらないはず。ややもすると、発売前の新刊広告でもうすでに読者の感想が寄せられていることもあり、うさんくさいなあと思っていたのです。あれは出版社による「やらせ」か「サクラ」みたいなものなんじゃないかと。

ところが先日、とある出版社のとある編集者さんから、発売前の新刊書に感想を寄せてもらえないかというご依頼をいただきました。以前にこのブログで同じ出版社の本を紹介したことがあって、それで目に留まったそうです。いいですよとお返事申し上げたら、ゲラを送ってくださいました。すぐに拝見して感想を返しましたが、なるほど、こうやって刊行される前に感想を集めるのですね。

著名人でも何でもない私のような者からも感想を集めて、新刊書の発売と同時に広告を打つということがあるのだと初めて知りました。私の感想も、ひょっとしたら「50代・男性」みたいな形で広告に載るのかもしれません。