インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

やっぱり借金減らして現金増やせ!

荻原博子氏の『やっぱり借金減らして現金増やせ!』を読みました。

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副題は「“2000万円”なくても老後資金は足りてます」。そう、これは今年「老後資金は公的年金だけでは2000万円不足する」という部分だけがセンセーショナルに取り上げられて話題になった、金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」を念頭に置いて書かれた一冊です。

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結論から言うと、この本には特に目新しいことが書かれているわけではなく、とても常識的かつ基本的な「資産」に関する入門書になっています。その意味ではちょっと期待はずれだったのですが、わかりやすい言い切りで(これは著者である萩原氏の「芸風」でもあると思いますが)、それなりに納得感や安心感が得られるのがこの本の魅力です。

50歳の段階で資産がプラマイゼロであればそれほど老後は暗くないとか、何よりも大切なのは借金(ローンを含む)を速やかに精算して貯金をすることとか、投資はよほど知識がある方以外はやめておいたほうがいいとか、とにかくシンプルで分かりやすい。

でも、その一方で年金や保険のごくごく基本的なところとか、民間の保険に頼らなくても公的保険でかなりのところまで保障されているとか、「それすら知らない」私たちにとってはお金の教養の第一歩になるのではないかと思いました。特に、政府が国民に投資しろ投資しろとやたらに勧めてくるウラに何があるのか……と考えるきっかけにもなりました。

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ところでこの本はコンビニのセブンイレブンを展開する「セブン&アイ」が今年から始めた出版社「セブン&アイ出版」の「学び新書」シリーズの一冊です。既存の新書より本の作りがとても「ライト」な印象。ワンコイン500円でお手軽(その分薄い)ですし、イラストを散りばめて新書というよりは雑誌、あるいはムック的な作りのページもあります。

最初この本をAmazonで買おうと思ったのですが、新刊にも関わらず在庫はすべてマーケットプレイスにしかなく、それも定価の二倍も三倍もの値段をつけている出品者ばかりです。なるほど、この新書は既存の書店ではなくセブン&アイのコンビニやスーパーを通して売る新しい出版形態を追求しているのかなと思いました。それで近所のセブンイレブンなどをのぞいてみたのですが、どこにも売ってない。

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というわけで結局、同社のネットショッピングサイト「オムニセブン」で買いました。注文後数日で、自宅や職場近くのセブンイレブンで受け取ることができました。

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