インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

留学生の字幕翻訳課題

外国人留学生の通訳翻訳クラスで、毎年この時期の課題となっている字幕翻訳に取り組みました。プロも使っている字幕製作ソフトを用い、日本の字幕翻訳のルールも学んだ上で、英語や中国語の動画に日本語字幕をつけるという課題です。

翻訳は、それも高度な言語感覚が必要とされる字幕翻訳は通常、外語→母語方向を担当することがほとんどです。ですから留学生が日本語方向の字幕を作るというのはかなりハードルが高いのですが、通常の実務翻訳とはまた異なる字幕翻訳をやってみることで、日本語を異なる側面から見つめてみよう、日本語の言語感覚をより豊かにしようという主旨で毎年取り組んでいます。

昨年までは学校の予算もあり、留学生3〜4人にひとつの字幕製作ソフトしか用意できませんでした。それでグループ作業としてこの課題に取り組んだのですが、当然のごとくグループ内で学習意欲にも、さらには語学の習熟度にも差があるため、積極的に取り組む人とそうでない人の差がかなりありました。

そこで今年は私が学校側にかけ合って予算を取り、1人ひとつのソフトで各自が責任を持って課題に取り組めるようにしました。そして課題提出後には上映会を開き、下級生や教職員を招いて見てもらい(広く公開するわけにはいかないので、内輪だけの会にしています)、さらには全員の投票で最優秀作品を選んでトロフィーを贈ることにしました。さすがにここまでお膳立てが整うと、いい加減に課題に取り組む人はほとんどいなくなります。結果としてとても面白い字幕翻訳作品がたくさんできあがりました。

昨年までは、同じグループの誰かが必死に字幕を作っているそばで、所在なさげにスマートフォンでゲームをしているような学生もいたのですが、今年は最初から最後までみなさんとても真剣、かつ楽しそうでした。こういう仕組み作りも教案同様大切なんだよな、でもそのためにはそれ相応のお金もかかるんだよな……と改めて思いました。

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