インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

しまじまの旅 たびたびの旅 61 ……花の香りと核のゴミ

蘭嶼を一周する道路をバイクで走っていると、鬱蒼とした緑から発散されているであろう草いきれの匂いと、花の香りを強く感じます。さすが「蘭嶼(ランの島)」ならでは。花の香りはランのようでもあるけれど、道端でたくさん見かける馬蹄花(たぶん)やハイビスカス(たぶん)の香りかもしれません。

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蘭嶼はどこも緑が深いです。その深さにちょっと畏怖さえ覚えるほど。平地が少なく、海からそのまま断崖が数十メートルから数百メートルも隆起しているような地形が多いためか、山麓以外には家や畑など人工的なものがほとんど見られません。古代からおそらく変わらないであろう原始のままの巨大な山がそびえ立っているのです。そのぶん緑の深さが際立っているような気がします。

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島を一周する道路で、何度も野生の山羊に出会いました。

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よく見ると、山の急峻な崖に白い山羊が点々と見えます。アニメ『アルプスの少女ハイジ』の世界ですね。

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ちなみに蘭嶼の集落がある場所では、野良犬もたくさん見かけました。野良犬じゃなくて、飼い犬を単に放し飼いにしているだけかもしれません。島唯一の夜市には当然ながらおこぼれを狙って出没率が高いです。

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蘭嶼の一番南の端には「蘭嶼儲存場」があります。低レベル放射性廃棄物を保管している場所です。台湾はすでに脱原発に舵を切っていますが、それでも過去の「遺産」は保管し続けて行かなければなりません。翻って日本は……。蘭嶼という一種の「最果ての地」にこういう施設があること共々、いろいろと考えさせられます。

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蘭嶼貯存場 - 維基百科,自由的百科全書

島の飲食店やお土産屋さんなどでは、多くの場所で「反核」の旗やポスターを見かけました。

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島が核のゴミ捨て場となっていることに対して、また高レベル放射性廃棄物が持ち込まれているのではという疑惑もあり、反対運動が続いているそうです。政府は放射性廃棄物の島外撤去を約束したものの代替地が見つからないため延び延びになっており、その分の「補償」として地元にお金が拠出され……いつかどこかで、そして何度も見てきたような構図です。