大相撲の「外国人力士」たちは、なぜあんなに日本語が達者なのか――を探った本。
プロ野球などの「お雇い外国人」と違ってハングリー精神があることに加え、相撲部屋という上下関係、なかんずく言葉遣いに厳しい理想的な語学環境があって、部屋周辺の地域社会やタニマチや、巡業先での暖かい応援に支えられているからなんじゃないの……と思って読み始めたら、本当にそれだけしか書いてなかった。
最後には外国語学習を志す日本人のためのアドバイスが結論めいた形で載せられているのだが、要するに理想的な言語環境に身を置きなさいってことしか言っていない。私も「留学して、なおかつ日本語を使わない生活をする」のが一番手っ取り早くて確実な外国語習得法だとは思うけど。
本の半分は、大相撲力士へのインタビューの様子が詳しくレポートされている。巻末には外国人力士のデータバンクも載ってる。一読、著者は大相撲が本当に好きなんだなあということが了解できるけれど、もともとの研究の趣旨をなんだか大きく踏み外してしまったような。
大相撲読本として読めば楽しい。語学学習や第二言語習得に関する本として読んではいけないのだろうな。