インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

スマホの「ながら」を自分本位に取り戻す

先日読んだ、カル・ニューポート氏の『デジタル・ミニマリスト』。「注意経済(アテンション・エコノミー)」に身も心も乗っ取られてしまわないための提言がいくつもなされているのですが、まずすぐに実践して効果があったのは、スマホによる「ながら」をやめることでした。

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デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する

qianchong.hatenablog.com

いささか悪趣味ではありますが、通勤電車の中で観察していると、実に多くの(ほとんどと言ってもいいくらいの)人が、スマホで次々アプリを乗り換え、しきりに画面で指をタップしたり滑らせたりしています。あるいは「Pokemon GO」をはじめとするゲームに興じているか。私はゲームは一切やらないんですけど、かつてはスマホSNSやニュースサイトやブログや動画サイトや音楽ストリーミングサービスなどをひっきりなしに切り替えながら利用していました。

特にSNSは、自分でも呆れるほどに、何度も何度もチェックしてしまうのです。何かをつぶやいた後とか、ブログに記事を投稿したときなど、「その後、何か反応があったかな」と、酷いときには数分おきにチェックする始末。冷静に考えればそんな短い時間で反応があるわけがないのですが、なぜかスマホを手にとって最新の状態を確認したくなってしまう。これは明らかに中毒です。

またSNSやニュースサイトは、いったんチェックし始めるとそこから次々に違う情報にアクセスして、あっという間に時間が過ぎていきます。後から考えれば、なぜそんな内容に興味を持ったのか疑問に思うようなものにまで惹きつけられるリンクがあまりにも多すぎるんですね。

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https://www.irasutoya.com/2016/04/blog-post_174.html

それで、こうした中毒や無限のクリック連鎖を引き起こすアプリをすべてスマホから削除しました。Chromeのようなブラウザは残してありますが、なるべく検索しないようにしています。検索すると、様々な情報に注意喚起されて時間を費やしてしまうからです。要するに、スマホを電話やメールとメッセージアプリ、そしてGoogle Mapのような地図くらいにしか使わないと決め、移動中の暇つぶしに使わないということです。

しかも、ごくわずかのアプリを除いて、すべての通知機能をオフにしました。これも『デジタル・ミニマリスト』に触発されてのことです。スマホに通知が届くと、ついそれを確認したくなってしまう。それでなくても最近のスマホとアプリは実に「スマート」で、繰り返し使っている機能などは知らないうちに「これをやる時間ですよ」みたいな通知が来るようになっています。これらすべてが、自分の時間を奪っていくのです。

宮仕えならともかく、フリーランスの方はメールやメッセージや電話の通知を切るのは「営業」的に不安かもしれません。かつての私がそうで、常に手にスマホを持って移動していた時期もありました。通知を見逃すのが怖くて。しかしこれも、何かが歪んでいるような気がします。『デジタル・ミニマリスト』には、そうした方に対してもある程度スマホ依存から抜け出すことが可能になる処方箋が示されています。

移動中にスマホで暇つぶしをしないというのは、最初はちょっとした「禁断症状」が起きました(YouTubeを開こうとして「ああ、削除したんだった」と気づくとか)が、すぐに慣れてしまいました。とはいえ全く使っていないわけではなくて、依然として移動中にスマホは使っています。ただしスマホで使うアプリは、語学の単語やフレーズを覚えるためのQuizletと、能の謡を覚えるためのiTunesだけにしました。

矛盾している? いえ、暇つぶしを、他者からのインプットや他者へのアウトプットに占領されるのではなく、自分が本当にしたいインプットやアウトプットだけに絞るということなのです。