インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

ひつじのにおい

先日帰省した際に門司港駅周辺を散策していたら、レトロなビルの一階に洋服屋さんがあったので冷やかしに入ってみました。そこで見つけたのがこのセーターです。試着してみたらちょうどいいサイズだったので、衝動買いしてしまいました。

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いいなと思った理由は、ハンドメイドっぽいザックリとした風合いもさることながら、このセーターにほんのりと「羊臭」がしたことでした。ついていたタグには「James Charlotte」と書かれていて、調べてみたらイギリスのニットメーカーみたい。主に英国産の羊毛を使っているみたいですが、こういう、毛を刈って、洗って、紡いで、編んだだけ、みたいな素朴な感じがいいなと思いました。

James Charlotte

以前購入して冬に重宝している「Silkeborg Uldspinderi」というデンマークのメーカーのブランケットがあるのですが、これも「羊臭」がします。羊小屋の藁屑がくっついているんじゃないかと思うくらい。羊臭というと、ジンギスカンなどでおなじみのラム肉を思い出して「アレは苦手」とおっしゃる方もいると思いますが、決して悪臭ではないんですよね。むしろほんわかと温かみを感じるにおいで。

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Silkeborg Uldspinderi | Officielle Online Shop og Brandsite – silkeborg-uld-dk

若い頃、田舎で農業の真似事をしていた時には山羊が日常生活の中にいました。中国にいたときには羊肉の洗礼を受けてすっかりその虜になり、台湾にいたときは山羊料理で有名な岡山という町に住んでいました。そのせいか羊や山羊にご縁があるというか、親近感を覚えるのです。そのにおいも含めて。だからウールの「羊臭」に接すると、どこか懐かしい温かみを感じるのだと思います。ブランケットを使いながら時々「羊臭」を嗅いで悦に入っていると、細君が冷ややかな視線を飛ばしてきます。

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