『ティファニーで朝食を』や『冷血』で知られる作家、トルーマン・カポーティを描く映画。
http://www.sonypictures.jp/movies/capote/
【ネタバレがあります】
カンザス州の田舎で起きた一家四人殺害事件を知ったカポーティ、ノンフィクション・ノベルという「新境地」を開くという野心を持って取材を始める。担当刑事に接触し、ついには犯人自身とも交流するようになり、『冷血』を書き上げていく。
犯人は死刑判決が確定したので、執行が刻一刻と迫っている。一方で犯行の瞬間だけはなかなか語ろうとしない犯人。そこを聞き出し、なおかつ死刑執行まで描かなければ小説は完成しないと焦り、同時に犯人との奇妙な心の交流を深めていくカポーティ。
要するに犯人から犯行の一部始終を聞き出した上で死刑執行を迎えることを「期待」しつつも、犯人への同情が深まっていくという二律背反に悩む主人公……というプロットなのだけれど、映画としてはどうかなあ。
題名を『冷血』と決めて小説をどんどん書き進め、出版社からベストセラー間違いなしだと太鼓判を押され、出版に先立ってニューヨークで朗読会まで開いておきながら、犯人には「まだほとんど書けてない。題名も決まっていない」と嘘をついて話を聞き出そうとするカポーティ。アンタが一番の「冷血」じゃん、とツッコミを入れながら見ていたら、果たしてラストでそれを代弁する台詞が。
主演のフィリップ・シーモア・ホフマンという人は、カポーティの話し方や癖を徹底的に研究したそうだ。甲高い独特の声。本当にあんな感じの人だったのだろうな。それから当時のアメリカ人って、男性も女性もよくタバコを吸ってよく酒を飲むなあという印象。★★★☆☆。