夜の仕事を終えたあとレイトショーに向かう。開演一分前に滑り込むことができたが、おかげで夕飯抜きに。
http://www.ghibli-museum.jp/outotori/
【ネタバレがあります】
何と第二次世界大戦直後に製作が開始され、様々な紆余曲折があって1970年代に最終的な完成を見たというアニメーション作品。『ゲド戦記』の製作・公開中、スタジオジブリがえらく宣伝に力を入れていたので気になっていた。
あまり予備知識を入れずに見たが、なるほどこれは確かにまごうことなき「ジブリの原点」。
タキカルディ王国の、尖塔が林立する巨大な城はまんま「カリオストロの城」だ。ルパンがハイジャンプを見せていたような極端に傾斜のついた屋根、王専用のエレベータ、気に入らない部下を奈落の底へ落とすために設けられた床の穴、階段で繰り広げられる捕り物劇、とらわれのヒロイン、強行される結婚式。結婚式を中継する峰不二子と同じような女性まで登場して、そのあまりの類似に驚く。
一方で天空にそびえる城、その地下に広がる貧民窟(太陽を見たことがないそうだ)、最後に登場する巨神兵、崩壊する巨大な城……「ラピュタ」だ。高畑勲と宮崎駿が影響を受けた作品と改めて説明されなくても、一目瞭然だ。
いや、だからといって過去のジブリ作品を貶める気はない。この作品に触発されて、『ルパン三世カリオストロの城』や『天空の城ラピュタ』のような傑作が生まれたことを喜びたいし、この『王と鳥』を見ることで両者をともに、より深く味わうことができて心から満足だ。
しかし、『ゲド戦記』そっちのけで自らの原点を強力にプロモーションし、ぶつけてくる宮崎駿って……もんのすごく意地の悪いおじさんだなあ。★★★★★。