インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

音楽を聴かなくなった

かつて、音楽CDをたくさん持っていました。専用の大きなキャビネットを持っていたほどで、東日本大震災のときには上に載せていたステレオセットとともに倒れて、職場から徒歩で帰宅したら大変なことになっていました。

そのキャビネットもステレオセットもいまはなくなり、つい先日は最後まで持っていたCD十数枚も処分してしまいました。昔々、学生時代はまだLPレコードの時代で、その当時も引っ越しのときに悩むほどたくさんレコードを持っていたのですが、それを一挙に処分したときのことを思い出しました。あの当時からカセットやMDやCDなど様々なメディアで音楽を「所有」して、聴いてきましたが、結局現在はモノとしての実体のない音楽配信のデータでのみ音楽とつきあっています。

いや、その音楽配信さえ、最近はほとんど聴かなくなりました。少し前まではSpotifyをサブスクで利用していました。でも、そこにはありとあらゆる音楽があって、いつでも、なんでも、どんな順番でも、そして自分の知らなかった音楽までおすすめされて聴けるという最大のメリットが、逆に自分には音楽との接し方が限りなく粗雑になるというデメリットにしかなっていないことに気づいて、やめてしまいました。

qianchong.hatenablog.com

最近どんな音楽を聴いたかなあと思い出してみれば、これがまったくといっていいほど聴いていません。通勤中にスマートフォンで聴いているのは謡曲か語学の教材くらい。購入した楽曲もスマートフォンには入っているけれども、通勤電車で聴くとなると、これはもう音楽を聴いているといえるのかどうか怪しいです。単なる時間つぶしにしかなっていません。

仕事中に音楽を聴くという方もいらっしゃるそうです。でも私は音楽を聴いているとほとんど他のことができない(特にものを書いたり、考えたりするのは絶対に無理です)シングルタスクな人間なので、仕事中もまず聴かない。要するに、かつて自分が楽しんでいたような、好きな音楽にじっくりと耳を傾けるという行為そのものが、暮らしの中からほとんどなくなってしまったのです。

それはそれで自然な流れの末にそうなっているので仕方がないなとは思います。でも、音楽をゆっくり聴くこともない暮らしというのも、なんだか寂しい。お酒を完全にやめてしまって夜の時間が格段に増えたことでもありますし、なにか音楽を聴く新しい環境をもう一度作ってみたいなと思いました。

いまさらまたCDや、一部のお若い方々が逆に「レトロ」で良い! と注目されているというLPレコードに戻るのも気が引けます。それらを実現するにはまたまた少なからぬ出費と、モノを大量に持つことを選ばなければなりませんから。ですから音楽配信一択ではあるのですが、かといってSpotifyなどのサブスクも上述したような理由で選びたくありません。

そんなめんどくさい気持ちを抱えてネットを検索してみたら、音楽配信とそれを聴くガジェットについて、こんな記事を見つけました。

ontomo-mag.com

なるほど、Spotifyのような音楽配信は圧縮音源、CDと同等の音質はWAVやflac、そしてそれを超えるハイレゾ……ですか。音楽配信のデータにもいろいろなものがあるんですね。この記事で紹介されていた「Presto Music」というクラシックやジャズ専門の音楽配信サイトは、それぞれの音質から選べて、なかなかよさそうです。

www.prestomusic.com

しかし……これはこれでまた出費が増えそうです。もちろんアーティストを応援するためにも、作品に対する相応の出費は当然ですが、ガジェット方面はあまり凝りすぎて暮らしを複雑にもしたくありません。上述の記事に出てきた蔦屋家電のCDプレイヤーだったら、CDの他にデータも再生できて、Bluetoothでヘッドホンに飛ばすこともできて、とてもシンプルです。これで新しい環境を作ってみようかな。そして、一度音楽環境をリセットしたことでもありますし、今度はあまりあれこれ「飽食」せずに、じっくり選んだ音楽だけをくり返し聴くのです。

store.tsite.jp

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https://www.irasutoya.com/2014/06/blog-post_9420.html