インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

原美術館が閉館すると聞いて

原美術館が閉館するそうです。私は昨日の新聞ではじめて知ったのですが、すでに11月の段階で公表されていたよし。閉館の理由は建物の老朽化にくわえ、改装するとなるとバリアフリーを実現するのが困難など色々とあるようです。古い建築物が改装や改築の際に現代の法律に引っかかって存続を断念というの、よく聞く話ではありますが、残念です。

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原美術館といえば、美大に通っていた何十年も前、あこがれの場所の一つでした。1930年代に建てられたとはとても思えないほどモダンな邸宅を利用した小さな美術館で、当時傾倒していた現代美術を専門に企画展示する空間としてはかなり先駆的な場所だったように思います。

品川から京急でひとつ目の「北品川」の駅で降りて坂を登り、住む世界があまりにも違いすぎることを肌で感じるほどの高級住宅街の先に原美術館はありました。大好きな(しかしその実、よくわかっていない)現代美術の作品を見に行くことに加えて、その瀟洒な住宅街の中に佇むこれまた超絶にかっこいいアールデコ建築の原美術館。とにかくいつも、なぜか胸を「ドキドキ」させながら訪れていたことを思い出します。

原美術館は多くの美術作家とコラボして恒久的な展示が少しずつ増えていきました。あくまでも個人的な好みの問題に過ぎませんが、私はそうした固定された(まるで観光名所のようになった)現代美術作品にあまり「萌えない」人間なので(だから金沢21世紀美術館にもあまり萌えません)、正直ちょっと興味が薄れているところがありました。とはいえ、企画展にはとても面白いものが多く、これまでに何度通ったか分かりません。数年前の「ミヒャエル・ボレマンス」展なんかも、よかったなあ。

あと、小さなカフェが併設されているのもよかったですね。学生時代からデートに誘うならここという不埒な使い方をしていたのも、何を隠そう私です。あ、そうか、だから原美術館と「ドキドキ」が不可分に結びついているのかな。

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原美術館のウェブサイトより。撮影:渡邉修氏
https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/about/