インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

「リモート通訳」の時代

はやいもので今年もすでに半年を過ぎ、あまり夏らしい天候にならないまま八月を迎えようとしています。年明けからここまで、なんだかコロナ禍に振り回されっぱなしだったような気がしますが、気がついたら今年は、一度も通訳業務をしていませんでした。もとより、通訳や翻訳だけではとても食べていけない状況に疲れ果て、今年からエージェント経由の「仮案件&リリース」からは距離をおいて、エージェントからの「ご指名案件」かクライアントからの「直受け案件」だけに絞り、そのぶん固定の(安定した収入の確保できる)仕事にシフトしていました。でも、コロナ禍で通訳者を必要とする会合自体が一切なくなってしまいました。

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この状況はこれからも長く続くでしょうし、仮にワクチンや特効薬が普及してまた国際的な往来が再開されたとしても、今回のことを教訓にリモートでのやり取りが増え、当然通訳者を必要とする種類の会合のあり方も変わっていくでしょうね。通訳学校のアイ・エスエス・インスティテュートで教鞭を執っておられる和田泰治先生が、こうした新しい動向をコラムで紹介されていました。

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なるほど、さすが圧倒的に業務のパイが大きい英語の業界では、すでにリモート通訳や在宅通訳といった業務形態が「新たな日常」として定着しつつあるのですね。和田先生は「通訳者も通訳エージェントも、これが一過性の現象ではなく、新型コロナの終息に関係なく、リモートでの会議、通訳が一般化するという前提でビジネスモデルや仕事観を考え直す必要性に直面するのではないでしょうか」とおっしゃっていますが、本当にそのとおりだと思います。

Zoomに搭載されている「通訳」機能は私も使ってみましたが、いったん設定してしまえば聴衆はとても簡単に(リアルな会議でパナガイドのチャンネルを選ぶ程度の操作で)通訳サービスを利用できると思いました。英日会議通訳者の坂井裕美氏が、ご自身のウェブサイトでクライアント向けの説明をされています。今後はこうした「リモート通訳」をベースにした、通訳者やエージェントによるプロモーションが一般的になっていくのかもしれません。近い将来「かつては、お金と時間をかけて、飛行機に乗って、相手の国まで出向いていたんだよ」などと言われるようになるのかも。

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昔よく帯同した、中国や台湾からの「訪日団」などは、滞在日程のたいがい最後に“機動時間(自由時間・フリータイム)”が組み込まれてあって、それを使って物見遊山をするとか免税店に行くとかといった「お楽しみ」があったものです(やや「腐敗」の気がありますな)。でも、そういうのも過去の牧歌的な(悪しき?)風習として「♪そんな時代もあったねといつか話せる日が来る」のかもしれません。

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https://www.irasutoya.com/2015/05/blog-post_42.html