インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

腕時計をしなくなりました

私は脳の「筋トレ」のつもりで毎日ブログの文章を書いています。だいたいは朝の出勤途中に何となく「これを書こう」と考えて、始業前のちょっとした時間を使って書いていることが多いです。だいたい同僚より1〜2時間は早く出勤するので、その間にメールチェックをしたり、SNSを見て回ったり、そしてブログを書いたり。

今日は家を出がけに「腕時計のことを書こう」と思っていました。最近私は腕時計をしなくなったのでその事を、と考えたのです。職場についてメールをチェックしたら、「cakes」の新着記事が入っていて、いつも読みに行っている武田砂鉄氏のコラムで「蛭子能収はいい腕時計をしない」という記事が載っていました。果たして、武田氏が腕時計をなさらない理由を書かれた文章でした。何というシンクロニシティ

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そんなわけで、もう自分の中で今日のエントリは二番煎じ感が半端ないのですが、せっかくだから書いてみようと思います。武田氏が腕時計をなさらないのは、腕時計、なかんずく高級腕時計に関して「男なら、いい腕時計の一本くらい持っとかなきゃ」的な世間様の決めつけに対する違和感や反発からであるよし。氏の文章にもありますが、私も常々、雑誌などで(『Pen』とか『BRUTUS』とか『東京カレンダー』とか)高級腕時計の特集を見るたび(髪を切りに行くと何故かそれらが私の前に並べられるのです)、「こんなの誰が買う(買える)のかしら」とか「腕時計とか車で自分を主張するのって恥ずかしい」などと思っていたので、思わず快哉を叫びました。

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https://www.irasutoya.com/2013/03/blog-post_2567.html

とはいえ、「男なら、いい腕時計の一本くらい持っとかなきゃ」と言われることが多いので「逆に腕時計なんかつけない」と首尾一貫されている武田氏とは違って、私はかつて「いい腕時計」を買ったことがあります。今も持っていますが、タグ・ホイヤーというメーカーのクロノグラフです。海外のプラントに赴任して給料の他にお手当がたくさん出るものの、田舎のプラントと宿舎を往復するだけの毎日でお金を使う場所がないため、貯金額だけが急上昇していた「私的バブリー」な時代に、それこそ「男なら、いい腕時計の一本くらい」的なノリで購入したものです。雑誌に載っているような高級腕時計とは桁が1つか2つ違います(安い)が、それでも25万円くらいしたと思います。

買ってからもうずいぶん経ちますが、一度竜頭が取れて修理に出した以外は特に故障もなく、今でも十分使えます。でもこのクロノグラフ、とにかくどっしり分厚くて重いんですよね。若い時ならまだしも、初老の私にはちょっと重苦しく感じられてきました。それに機械時計だから(自動巻きではありますが)週末に使わないでいるとすぐ止まって、そのたびに時刻を合わせなきゃなりません。けっこう不便です。

それに何より、暮らしの中で腕時計の必要度が極端に落ちてきているのです。だってスマホを持っているから時刻はすぐに分かるし、特に腕時計を使う必要はありません。街にも職場にも時計は至るところにありますしね。加えて最近はジムに通っているので、そのたびに腕時計をロッカーに置く(重いクロノグラフをつけて筋トレはちょっと無理)ことになって紛失の危険がありますし。総じて、腕時計を惰性でしている意味がなくなってしまいました。

武田氏とはずいぶん違う「ヘタレ」な理由ですが、そんなこんなで私は腕時計をしなくなりました。あのクロノグラフはどうしようかな……大学受験を目指して頑張っている甥っ子がいるので、彼が合格を果たしたら、入学のお祝いに差し上げようかな。でも今どきのお若い方はアップルウォッチみたいなスマートで実用的なのがお好みで、それこそ「昭和のオヤジ」的なノリのごつい腕時計など、ありがた迷惑かもしれませんね。