インタプリタかなくぎ流

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惰性で塩辛いものを食べている

昨夜のNHKで放映されていた『ガッテン!』、たまたま見たのですがとても面白い内容でした。テーマは「減塩」。私はここ数年高血圧気味で、なおかつ東京の外食や加工食品の塩辛さがつらくてほとんど自宅で自炊しているので、その点でも興味深く見ました。

www9.nhk.or.jp

英国の総合学術雑誌『Nature』に掲載された、「塩を振るという行為は習慣であり、人々は惰性で塩をかけている」という研究結果や、減塩食品の美味しさのカギが「納豆のネバネバ成分」だという話題も面白かったのですが、一番興味をひかれたのは、英国政府の減塩に対する取り組みです。

英国では、国民の健康対策という観点から塩分摂取量を減少させる取り組みを続けてきたそうで、例えば意外にも多いというパンの塩分含有量を、パン業界とも協力して少しずつ(国民に気付かれないように)減らしてきたとのことです。またスーパーなどで売られている加工食品などの成分表を、信号機のように色分けして表示する方式にして、視覚的にもナッジ(nudge:人々が強制によってではなく自発的に望ましい行動を選択するよう促す仕掛けや手法)を効かせるようにした結果、心筋梗塞脳卒中の死亡率が四割も減るなど効果を上げているよし。

www.asahi.com

上記の記事によれば、英国のこの「信号」方式は食品100gあたりの含有量に基づいているため、摂取量が一般的にそれほど多くないと考えられる食品については赤信号が出やすいといった注意点もあるようです。それでも、ひと目で成分含有量と1日の摂取基準に占める割合がわかるこのシステムはとてもいいなと思いました。

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※日本高血圧学会「栄養成分表示における食塩相当量(g 単位)の表示義務化要望について」より。
https://www.jpnsh.jp/data/salt05.pdf

日本でも「改善」が進んでいないわけではありません。かつて日本高血圧学会は「食塩相当量」の表示義務化を求めていましたが、これは2015年に「食品表示法」が施行されて、実現しています。加工食品などのパッケージを見ると分かりますが、「熱量(カロリー)・タンパク質・脂質・炭水化物」に加えて「食塩相当量」の表示が義務化されています。あとはここに、英国のような信号表示が加わるといいですね。でも、消費が抑制されるとメーカー側が反対するかもしれませんが。

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https://www.irasutoya.com/2014/09/blog-post_82.html

番組でも指摘されていましたが、一般的に日本人は塩分を摂りすぎなんだそうです。これは外食や加工食品の塩辛さ・味の濃さにほとほと困っている私にはとてもうなずけます。外国のお客さんを案内しても、みなさん気を使ってあまりおっしゃらないけれど、本音のところでは「ちょっと塩辛い」と感じている方が多いように思います。

とりあえず私は、番組で紹介されていた醤油用のスプレー容器を購入することにしました。これを使うと、通常の十分の一ほどの量でも美味しく食べることができるんだそうです。「惰性」で塩辛いものを食べている習慣をちょっとした工夫で避けることができるわけです。

というわけで早速Amazonで渉猟してみましたら……多くの商品がすでに「在庫切れ」や「入荷まで1〜2ヶ月」などとなっていました。テレビ番組の影響力は依然ものすごいものがあるんですね。そしてみなさん減塩に関心を持ってらっしゃる。なのに東京の外食がどうしてあんなに塩辛いままなのか、謎です。

▼これなど、なかなか素敵ですね。
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有田焼白磁減塩スプレー醤油差し