インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

自分ちで「お座敷天麩羅」

連休に友人が家に来たので天麩羅を揚げました。旬の最後の山菜や、今が旬のアスパラやソラマメなど、他に少々魚介類も。みんな揚げ物ばかりをたくさん食べられないお年頃になったので、ほんの少しだけです。

天麩羅は難しいと言う方もいますが、要は衣をつけて揚げるだけです。山菜や野菜類はすぐに熱が通るので揚げ上がりを気にしなくていいし、魚介類も小ぶりなものばかり選べばこれまたすぐに熱が通り、生揚げを心配する必要はありません。

しかも昔から家庭で繰り返し作られてきた料理だけに、上手に揚げるためのアイテムも揃っています。まずはこの「天ぷら粉」。邪道ですか? いえいえ、この粉は優れもので、卵も要らないし、粉を溶く水を冷やしておくとか、粉がダマにならないよう気をつけるとかの気遣いも一切不要です。単にきっちり粉と水を量ってぐるぐる混ぜ合わせるだけ。しかも非常に軽く揚がるので胸焼けもしません。

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昔はバカにしていたんですよね、「天ぷら粉」。きちんと卵と小麦粉を使って、ちょいと粉が残り気味にまぜて、魚介類はまず薄く粉を打ってから更に衣につけて……などなどしないとおいしい天麩羅はできないって。ところがあるとき「天ぷら粉」を使ってみたら、自分流のこざかしい天麩羅より数倍おいしいことを発見しました。さすがロングセラーの商品だけのことはあります。

油も昔は高級菜種油など買い求めたり、オリーブオイルで揚げたりしていたんですけど、はっきり申し上げて私たちのようなお年頃にはもう重すぎます。大手精油メーカーから出ている「ヘルシーなんたら」みたいなごくごく軽い揚げ上がりになる油で充分。というか、粉や油に懲りまくるより、揚げる素材そのものにお金使って、さっと熱を通して食べるだけ……的なスタンスにした方がよほど美味しいと気づいたのです。

かんじんの火加減も、いまのガスコンロは温度調節機能がついているものもあって、例えば天麩羅に最適な180℃前後をキープしてくれるみたいなのもあります。家のコンロはそこまで進んでなくて、単に温度が上がりすぎると火が弱まるだけですけど、これでも充分。あとは衣を少し落としていったん沈みかけてすぐに上がってくる程度の温度を常に心がけていれば、まず失敗することはありません。

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アスパラは下半分の皮をピーラーでむいて食べやすく、タラの芽は下の硬いところだけ斜めに落として、ソラマメだけは衣に粉を少し足して粘度を上げて豆が二〜三個まとまるように、貝柱だけは刺身用なのでわざと中を半生状態で揚げ、アナゴとメゴチとエビは……これはもう単に揚げるだけ。あと、めずらしく売っていた花ズッキーニの花の部分にはこれも魚屋さん出来合いのエビのすり身を詰めて衣をつけ揚げました。

天つゆも用意したんですけど、みんなほとんど塩だけで食べました。このあたりもお年頃……ですかねえ。