澎湖は料理がおいしいです。まあ台湾はどこでもおいしいんですけど、澎湖料理はとりわけ。
実は最初に澎湖料理を食べたのは十数年前、高雄でのことでした。仕事のあとの食事会で行ったレストランが高雄の有名な澎湖料理店だったのです。高雄は昔から澎湖との関係が深く、食材も多く持ち込まれているようですね。
何がおいしいかというと、なんといっても海産物の新鮮さと、その味つけの「薄さ」です。関西育ちの私は中年以降さらに薄味が好みになりましたが、関西風の薄味が好みの方でしたら本当に口に合うと思います。料理の技法は中華系なんですけど、味つけは全然違うカテゴリーという感じがします。
中国語圏の海鮮料理屋さんによくある、店頭に水槽がたくさん並んでいて、好きな素材を選んでお店の人と調理法を相談、というパターンが多いですが、澎湖料理で私が一番好きなのは、これ。揚げた「紅新娘魚」です。
紅新娘魚は小さな赤いベラみたいな、こんなにかわいい魚です。
こちらのサイトによれば、もともとは澎湖だけでなくどこでも獲れていた魚らしく、まあ言ってみれば「雑魚」なんですけど、でも淡泊な白身で、揚げるとほろほろとした食感で、骨からの身離れもよくて食べやすくて、とにかく美味しいのです。高雄の澎湖料理店でも、この魚が入荷しているときは必ず頼んでいましたし、日本から出張してくるどなたに勧めても絶賛されました。
あと、これは澎湖名物というわけではないけど、これ。「金瓜米粉」。金瓜は「かぼちゃ」、米粉は「ビーフン」のことです。
これがまたなんとも……。ビーフンの戻しぐあいの絶妙さはさすが本場、台湾各地どこに行っても驚嘆しますが、このほんの少し甘いカボチャが、ともすれば油を吸って重くなりがちなビーフンをコクのある豊かな味わいに昇華させてくれています。台湾に行ったら、締めのご飯ものは炒飯もいいけど、この金瓜米粉もおすすめです。