インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

李叔同の書

清末・民国初期の詩人・書家にして教育者でもあった李叔同(り・しゅくどう、号:弘一)という人がいます。天津生まれのこの人のことを、私は天津留学時に知りました。当時、大学に書を学びに来ていたとある韓国人留学生から教えていただいたのです。特に彼が見せてくれた李叔同の書を集めた大判の画集が魅力的で、私も帰国時に買い求め、いまでも時々ながめては楽しんでいます。

李叔同は日本に留学していたこともあって、犬童球渓(いんどう・きゅうけい)がアメリカのジョン・P・オードウェイの曲に訳詞をつけた唱歌旅愁」(♪更けゆく〜秋の夜/旅の空の〜……というあの曲です)にさらに中国語の歌詞をつけ、母国に紹介しました。この李叔同による「送別」という曲は今でもよく知られています。映画『城南旧事(邦題:北京の思い出)』でも使われていました。

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長亭外古道邊,芳草碧連天。
晩風拂柳笛聲殘,夕陽山外山。
天之涯地之角,知交半零落。
一觚濁酒盡餘歡,今宵別夢寒。 

李叔同は後年仏門に入り、仏教を背景にした書が多く残されています。

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▲写真はいずれも『二十世紀書法經典 李叔同(河北教育出版社/廣東教育出版社:1996年)』より。

どこかユーモラスで可愛くて、モダンな感じさえする書だと思いませんか。その飄々とした墨跡は良寛の書にも通じるものがあると思います。なんだかこれだったら自分でも書けそうな気がしますけど、とんでもない(無謀にもやってみたので、分かります)。李叔同の書を元に作られたフォントなどあったら、素晴らしいんですけど。どこかのフォントベンダーさんがやってくださらないかな。