先日東京メトロの青山一丁目駅、半蔵門線のホームを歩いていたら、大道芸でジャグリングだか奇術だかをやっていそうなコスチュームの欧米人とおぼしき男性がいました。素敵な格好だったので思わず「その服、いいですね」と声をかけようとしたんですけど、なぜかできずに通り過ぎてしまいました。
私はもともと人見知りが激しいというか、人付き合いがあまり上手な方ではないので、見知らぬ人に声をかけるのは苦手なんですけど、それでも海外で多少は感化されたのか、ときどきは自分でも気づかぬうちに声をかけていることがあります。誰かと一緒にいるときなど、気が大きくなるのか(何かあっても仲間がいる安心感からか)他人に声をかけやすいような気もします。
それでも多くの日本人(……の定義が現代では曖昧に過ぎますけど、まあ日本人的なメンタリティの持ち主)には、なるべく悪目立ちしないのが吉というか、下手に声をかけてトラブルに巻き込まれたくないというか、単純に内向的で慎み深くてじっと我慢する性格というか、とにかく見知らぬ人に声をかけるのを苦手と方するが多いようです。昨日はTwitterでこんなツイートを見かけました。
アメリカで知らない人に話しかけるのに慣れてると、日本でもついうっかり同じことをしてしまう。前回日本で自分がレストランから出て来た時に、外で「ここにしようかな」って悩んでる人がいたので「ここすっごく美味しいですよ!」と言ったら、ドン引きされてそっぽ向かれた。気をつけないと。
— 𝕒l𝕠h𝕒 ⛓️ (@alohamode) May 2, 2019
わははは。他人に声をかけるのもそうですけど、他人から声をかけられるのも慣れてない私たちにとっては、いきなりこういうコミュニケーションを取られると「ドン引き」してしまうと。うんうん、よく分かる気がします。私は電車などでベビーカーや大きなトランクを持った方が乗り降りする際に「手伝いましょうか」と声をかけることがあるのですが、にこやかに受けて下さる方がいる一方で、ものすごく怪訝な顔をされたり,明らかにありがた迷惑という表情をされたりする方もいます。
もちろんそういうサポートは相手の意向に沿ってこそ意味があるので、怪訝な顔をされても「拒否された」などと思わず、「そうですか、ではお気をつけて〜」でおしまい……でいいんですけど、やはり正直に申し上げて心にモヤモヤが残りますね。まあ、手を差し伸べるのが、私のようなむくつけき中高年の男性だから思わず防御に入っちゃうのかもしれません。一応笑顔を心がけてはいるんですけどね。
……てなことをつらつら考えていたら、これもTwitterでこんな動画を目にしました。
オーストラリアがいかにママに優しいのかが一瞬でわかる動画。
— ちーや🇦🇺メルボルン (@chiyahenyMel) 2019年4月30日
誰も何も言わずに乗り降りの手助けをしたり、赤ちゃんが泣いたら全く無関係の人が全力で笑わせにきたり、時にはリンゴあげてたりする。
電車やトラムで赤ちゃんが泣いていることに怒る人を、僕はこの5年間で一度も見たことがない。 pic.twitter.com/0uieYf7Wed
そうそう、こんな感じで「手伝いましょうか」という声がけすらなく単に手を差し伸べるだけってのが気軽でいいんですけど、日本だと無言でいきなり手を出した場合、下手をしたら「何するんですか!」って怒られそうな気配もありますね。う〜ん、ツイートへのリプライにもありましたが、みんな(特に東京の人たちは)疲れ切っちゃってて心に余裕がないのかもしれません。
https://www.irasutoya.com/2017/10/blog-post_24.html
その一方で、「内向的で慎み深い」はずの日本人なのに、このツイートにも言及されているごとく泣いている赤ちゃんに「キレ」ちゃたり、ベビーカーを押した親御さんに冷たくあたったり、あるいはスーパーのレジなどで舌打ちとともに「ぐずぐずすんな」的な罵声を浴びせたり……という輩も時折出没するのが不思議です。これもまた心の余裕のなさがなせる技なのかな。