インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

中国語でしゃべらナイト。

  昨晩何気なく見たNHKの『英語でしゃべらナイト』では、以前番組に登場したビジネスマンのみなさんが英語での交渉術を実践で学ぶという企画をやっていました。
http://www.nhk.or.jp/night/archives.html#lnkthisweek
  日常的に英語を使ってお仕事をされている方々で、みなさんたぶん30代。ふだんの仕事風景が紹介された後、講師のパトリック・ハーラン氏(パックンですね)と関谷英里子氏(同時通訳者)がよりよい言い回しの提案や、真意を誤解されそうな言い方の指摘が行われ、さらにはロールプレイ形式で架空の商品「レインボーハリセン」を売り込む交渉実践など、盛りだくさんの内容でした。
  特に印象深かったのは、30代の比較的若い(?)ビジネスマンの皆さんが、いろいろと苦労しながらも果敢に英語での交渉に臨んでいる姿。この番組は英語がテーマですが、たぶん今この瞬間にも、広い中国語圏で中国語を駆使して交渉に臨んでいる日本人がいるだろうなあと想像したのです。
  私自身の経験では、これまでは自分で中国語を駆使して交渉するというよりは、通訳者を使ってというケースが圧倒的に多かったと思いますが、以前とは比較にならないくらい多くのビジネスマンが中国語を学び始める時代になって、これからは自分で中国語を駆使してビジネスを展開する日本人もどんどん増えてくると思います。
  いや、自分自身、身の引き締まる思いがしました。なぜって、私は現在教職を本業にしているので、こういうシビアな中国語環境に身を置くことが少なくなっているからです。もちろん中国人の同僚とは基本的に中国語でやり取りをしますが、相手は日本語や日本人や日本文化を熟知した人ばかりですから、要求される中国語のレベルは多少、いや、大いにそのハードルが引き下げられていると思います。
  一方で教材や教案を作る際にはかなり突っ込んで中国語の文章や音声や映像に向き合いますから、それ自身が自分の中国語のブラッシュアップになっているという「役得」はあります。それでも、ビジネスマンが現地での交渉などで向き合う中国語体験と比べれば、かなり「ぬるま湯」ではないかなと思うのです。私が現地で通訳者をしていた時の実感からしてもそうですし、それに通訳者をしていた時は基本的に交渉はクライアントが行うものであって、私は訳すこと自身に徹していればいいというある種の安心感がありましたし。
  というわけで、バリバリ中国語を学んで仕事に活かそうとしている若い人たちに負けないように、今年はより意識的に自分の中国語をブラッシュアップしようと思った次第。
  そのうち『英語でしゃべらナイト』の中国語版みたいな番組が登場するかもしれませんね。番組のタイトル「ナイト」じゃなんだから……『中国語でしゃべりたい晩(わん)』とか。う〜ん。