インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

傘の修繕

中秋節を過ぎて、ようやく朝晩がしのぎやすくなってきましたが、今年の夏もその暑さ、いえ蒸し暑さにほとほと参り果てました。もとよりその人の多さで人々のイライラ感が充満している東京に、あの殺人的な蒸し暑さ。もうここ何年も「これ以上は耐えられない」と思いつつ、なんとかやり過ごしてきましたが、あと五年も十年も毎年やり過ごしていける自信がありません。本気で、どこかへ逃げられないだろうかと考え始めています。

少しでも夏の暑さから逃れようと、今年は流行に乗って(?)「日傘男子デビュー」しました。私、普段着はほとんどがユニクロで十分という人間ですけど、靴や傘などはあまり手を抜かないようにしています。大きなお世話なんですけど、往来で見かけるサラリーマンのみなさんも、スーツのシャツにぱりっと糊が効いているのに革靴がすり減って曇っていたら目も当てられないですし、そこに錆の浮いたビニール傘など持っていたらほとんど泣きそうになります。

それで日傘も、雨天兼用の割合上質なものを買い求めました。薄い色なので、日傘として使っていてもあまり目立ちません。目立たない……そう、「実際暑いんだから人目なんか気にしていられない」と日傘を使い出したものの、やっぱりまだどことなく恥ずかしい気持ちが残っているんです。男性が日傘を差しているってのが物珍しいんじゃないかとか(誰も気にしちゃいないのに)。染み付いた固定観念というのは本当に頑固なものです。


綿100%晴雨兼用折りたたみ傘

ところでこの日傘、使い始めてからほどなくして、某所でビル風か何かの突風を受けたあおりで骨のジョイント部分にある「ハトメ」がひとつ外れてしまいました。えええ、けっこうな値段がしたのになんだよ、と思いながら、糸で応急処置をしようと思うも、これが老眼でどうにもなりません。悲しすぎる……。といって、いまどき傘の修繕なんてやっているところはあるんでしょうか。

傘の修繕で思い出したのですが、子供の頃は日曜日になると朝から傘の修繕をする行商の声が聞こえたものでした。「竿や、竿竹〜」の声は覚えていますが、傘の修繕屋さんはどんな物売りの声だったか、記憶に残っていません。でも確かに毎週のように回ってきていました。それだけ需要があったというか、傘は壊れたら修繕するというのが普通だったのです。コンビニでビニール傘を買い求め、雨の後は道端に打ち捨てられているのを目にする現代では想像もつかないでしょうね。

ともかくネットで「傘 修繕」と検索をかけてみたら、もちろん専門店でもやっていましたが、靴の修理や鍵の複製などをやっている某チェーン店が傘の修繕もやっていることを知りました。職場近くの地下街にも一軒あるのでさっそく仕事の前に寄ってお願いしたら、その日のうちに修繕してくれました。費用は千円ちょっと。

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傘の骨一本に千円も払うなら、コンビニのビニール傘でいいじゃない、と思われるかもしれません。革靴も、年に数回は踵や爪先の張替えに出していますが、それだって数千円はかかります。それでも、使い捨てにするのはどうしても抵抗があるんですよね。もったいない、というのもあるけれど、なんかこう、靴や傘を使い捨てで済ませるのがすごく貧相な感じがして、悲しい気持ちになるのです。そう思いつつ服は安いものばかり着ているので矛盾しているのですが。