インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

チャイニーズには目が四つある

昨日うかがった仕事先で「外見だけで日本人か中国人か分かるか」という話になりました。

これ、昔からいろいろな場所で聞かされてきた話題で、日本人と中国人、さらに韓国人も加えて、どの国の方かを「判別」する方法にみなさん一家言持っているのが面白いなと思います。もちろん実際に会話をしてみれば分かるのでしょうけど、ここでは外見だけで「判別」するということです。

いわく……「服装の趣味が違う」「メイクの仕方が違う」「目や眉毛の細さで見分ける」「日本人男性はもみあげの下や卑下の剃り跡が青い」「中国人男性、それも北の地方の人はすね毛が薄い」などなど、みなさんそれぞれにいろいろなことをおっしゃるのですが、私はといえば、あまり見分ける自信はありません。

何十年も前は、特に中国の方など服装や佇まいが特徴的な感じがして、すぐに見分けられたような気がしますが、いまはもう自身はありません(何の自信だか)。特に女性、それもお若い方々は、私が奉職している学校の学生さんたちを見てもますます見分けがつかなくなってきているような気がします。

でも、昨日うかがった仕事先の方は自信たっぷりにこうおっしゃいました。「中国の方は、眼力が違う」。へええ、そうですか? 「そうなんです。日本人と明らかに違う『目力』なんですよ。ほら、“蒼頡”って人がいるじゃないですか。あれですよ」。

蒼頡(倉頡)は中国古代の、漢字を発明したという伝説上の人物です。肖像画には目が四つ描かれていて、これは蒼頡の洞察力や観察力、叡智の鋭さを表しているとされるんですけど、そういう人物を祖先にもつ現代の中国人にもその遺伝子(?)が受け継がれているんじゃないか、というわけですね。う〜ん、面白いなあ。

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倉頡 - 維基百科,自由的百科全書

その方がおっしゃるに、中国人はまるで目を四つ持っているかのようで、眼力が強いのもさることながら、何かこうもう一対の目で物事を俯瞰しているというか、複眼的思考というか、そういうスタンスを感じることがあるのだそうです。う〜ん、私は周囲の中国人をお一人お一人思い浮かべてみるに、必ずしもそうじゃないんじゃないかなという「反証」は浮かびますが、それでも腑に落ちる点はあります。

それは以前にも書きましたけど、中国人、というかもっと広くチャイニーズの方々の多くに(もちろん、全部じゃありません)感じる、ゴリゴリとしたリアリズムです。建前より本音で自分の欲求に忠実な姿勢。人は人、自分は自分というキッパリとした立て分け。こういうある意味透徹したリアリズムも、ひょっとすると「蒼頡」的に世の中を見つめ倒した結果なのかもしれません。

qianchong.hatenablog.com

通訳学校の公開講座などでも、Q&Aの時間にズバリ「通訳の仕事でどれくらい稼げますか」「この学校に入ってどのくらいの期間で稼げるようになりますか」と聞いてくるのはチャイニーズの方々です。こうした質問を日本の方から聞くことはまずありません。心の中では聞きたいと思っても、初手からカネの話はちょっと……と自制してしまうのでしょうか。いや、私だって自制しちゃいますけど。

また「石にかじりついても通訳者になる!」という気概みたいなものを感じるのもチャイニーズの方が多いです。もっとも、これは私の恩師がおっしゃっていたことですが、最近はこういう「石にかじりついても」系の方は日本人・チャイニーズ問わず少なくなってはいるんですけど。