インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

「日本人に代われ」や「まともな日本語を話せ」の恥ずかしさ

昨日、日本経済新聞のオンライン版に載っていたこちらの記事。小売店や飲食店で働く外国人が心ない暴言や嫌がらせなどを受ける事例が増えているという内容です。

www.nikkei.com

以前にも書いたことがありますが、留学生が日本で最も「心折れること」の一つは、コンビニなどのアルバイト先でちょっとした日本語の拙さを揶揄されることだそうです。そういう人は一度我が身に置き換えて想像してみてほしいと思います。その国の言語を使ってコンビニで働くことがどんなにすごいことなのか分からないのでしょうか。

qianchong.hatenablog.com

私は日本のコンビニで日本語だけを使ってアルバイトをしたことがあるけれど、あれと同じ業務内容を外国で、英語や中国語で、現地のお客さん相手にできるだろうか……と想像してみたら、とても難しいし勇気がいると思います。コンビニで働く外国籍の方や留学生には敬意を払いこそすれ、揶揄や罵倒など絶対にできないでしょう。我が身を振り返れば、恥ずかしくて。

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これはフィンランドのコンビニ(というよりスーパーですか)alepaで撮った写真です。こちらでも外国籍と思しき店員さんが働いていました。少なくとも英語とフィンランド語は必須の、日本とは比べものにならないマルチリンガルな環境です。こんな環境で自分が働くことを想像してみたら、どうでしょう。

もちろん、外国籍の方や留学生にもいろいろな人がいます。みんながみんな誠実で木訥で一生懸命で……などという幻想を振りまくつもりはありません。中には「態度が悪い」と感じる方もいるでしょう(実際私も遭遇したことはあります)。私が日々接している外国籍の方々だって、もう少し「郷に入っては郷に従う」を実践してくれないかな、私たちが異文化や多様性を尊重すべきであるのと同じ意味であなた方も自重してくれないかな、と思うような方は時々います。

それでも、それをはるかに上回る多くの人々は善良で(当たり前ですけど)、異国の環境で懸命に頑張っているのです。日本人のコンビニ店員だって「態度が悪い」人はいます。惻隠の情という言葉がありますが、数多くある外語の選択肢から日本語を選び、日本で働いてくださっている外国籍の方や留学生に、もう少し温かい目を向けてほしいと思います。

「日本人に代われ」「まともな日本語を話せ」などと罵る方は一度外語を真剣に学んでみるとよいのです。母語と外語を行き来することがどんなに難しく、深く、そしてエキサイティングであるかが分かります。学んだその先に異なる言語や文化に対する寛容も敬意も生まれてくるでしょう。ご自身の人生がより豊かになること請け合いです。