インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

中国人と話す時にひるまないための八つのヒント

1.「あ゙ぁん!?」と言われてもひるまない

  中国人に話しかけると、よく「あ゙ぁん!?」という反応が返ってきます。「あ」ではなく濁点のついた「あ゙」です。これでナイーブな日本人は意気消沈しちゃいますが、ここでひるんじゃいけません。この「あ゙ぁん!?」は中国人にとっては「はい?」とか「何か?」くらいにあたる、ごく普通の反応なのです。けっしてあなたが厭わしいわけではありません。

2.大声にひるまない

  中国人は(もちろん例外はあるものの)総じて日本人よりも大声です。この大声に気圧される人がいますが、ここでひるんじゃいけません。中国人はごく普通に話しているのが、我々には大声に聞こえるだけです。「中国人が言い争っているのをみたアメリカ人は、これは殴り合いのケンカになると思い、警察を呼んだ。警察が飛んできて件の中国人に『何をしているんだ』と聞くと、二人は『内緒話をしていたんです』と答えた」というジョークがあるくらいです。

3.反応が返ってこなくてもひるまない

  何かを尋ねたり頼んだりしたときに、反応が返ってこないことがありますが、ここでひるんじゃいけません。何度も繰り返し尋ね、頼めば、相手が(面倒くさくなって?)折れてくることもあるのです。
  反応が返ってこないといっても、それはあなたのリスニング力不足が原因かもしれません。相手はちゃんと反応しているのです。たとえばかの有名な「“没有”攻撃」にしたって、多くの中国人は「メイヨウ」などとハッキリクッキリ発音しません。ほんのコンマ数秒、ほとんど「みょ」くらいにしか聞こえないことも多いのです。
  また、“〜在哪儿?”などと聞いた場合に何も言わずに顎で方向を示されることがありますが、こういう反応にも傷つく必要は全くありません。とりあえずの情報は手に入ったわけですし、もう一度ほかの誰かに話しかけるモチベーションが生まれるわけですから、むしろ感謝すべきです。

4.視線を向けてくれなくてもひるまない

  こちらが一生懸命話しかけても、顔どころか視線すら向けてくれない中国人がままありますが、ここでひるんじゃいけません。話を聞く時、相手に向き合い、相手の目を見る習慣がないだけです。この点、欧米人に言わせれば日本人だって中国人と選ぶところがないかもしれません。とにかく相手はあなたを無視しているわけじゃありません(たまにそういう輩もいますが)から、臆せず話し続けましょう。

5.しかめ面されてもひるまない

  こちらが一生懸命話していると、顔をしかめる中国人がままあります(ありうべからざることですが、中国人教師にも時々います)。たぶん我々の発音や統語法が心地よくないのでしょうが、ここでひるんじゃいけません。相手はほとんどの場合無意識に顔をしかめており、別にあなたのことが嫌いで顔をしかめているわけではないのです。

6.割り込まれてもひるまない

  話している最中に、ほかの中国人が割り込んでくることがありますが、ここでひるんじゃいけません。声のボリュームを上げ、身振り手振りも駆使して、相手の意識をこちらへ引きとめ続けましょう。割り込んできた人は、たぶんあなたが先に相手と話していたとは気づかなかっただけなのです。それだけあなたから「ただいま会話中」というオーラが出ていなかったとも言えます。

7.聞き取れなくてもひるまない

  相手の言葉が速すぎて、あるいは訛りが強すぎて聞き取れないことがありますが、ここでひるんじゃいけません。だいたい、相手の言葉全てを聞き取る必要はないのです。核になる言葉が二つ三つ聞き取れればよいと開き直り、「何度も聞いちゃ悪いかな」などという日本人的発想はいったん捨てて、笑顔で“请再说一遍。”とでも“能不能再说一遍好吗?”とでも“我不太明白。”とでも、何度でも言いましょう。

8.言葉を継がれてもひるまない

  こちらがたどたどしい話し方をしていると、相手から言葉を継がれてしまい、最後まで話させてくれないことがあります。が、ここでひるんじゃいけません。“不好意思,等我说完,好不好?”とでも言って、待ってもらいましょう。
  これは中国のインテリ階層にとりわけ多く見られる現象です。だから中国人教師にもこういうタイプは非常に多く、会話の授業なのに生徒に話させずほとんど中国人教師の独演会になっている、というのは昔からよく聞く話です。多分頭の回転がとびきり速いんでしょうね、“结结巴巴”なこちらの中国語に「っああ、っとにもう〜」とついつい口が出ちゃうのです。
  私たちも中国人留学生が日本語で話している時は同じ過ちを犯さないよう気をつけたいものです。

追記:9.舌打ちされてもひるまない

  中国人は話の途中、頻繁に舌打ちをします。特に女性にこれをやられるとかなりインパクトがあるのですが、ここでひるんじゃいけません。
  中国人にとって舌打ちは、言葉の息継ぎというか、句読点というか、とにかく日本人が想像するほどの具体的な意味は持っていないことがほとんどです。ご本人もたぶん無意識のうちに舌打ちしているはず。
  さらに、中国人の伝統的なボディランゲージとして、相手を賞賛するときや、得意な気分になった時に「チッチッチッチッ……」と連続して舌打ちするなどというのもあり、とにかく日本人とはかなり異なる「舌打ち文化」を持っている人たちなのです。
  舌打ちされても、日本人的な感性で「舌打ちされた」と思う必要は全くなく、何食わぬ顔で会話を続ければよいと思います。
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