インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

面子

  日本人も中国人も、「メンツ」を重んじるとよく言われます。
  しかし、私に言わせれば日本人のメンツは、例えそれを失ったとしても同僚相手に愚痴をこぼす程度のやけ酒で解消されるたぐいの、安上がりなものがほとんどです。
  中国人にとっての“面子(ミェンズ)”は違います。それを失うこと、なかんずく、人前でふいにそれを失うような目にあうことは、全身全霊をかけて回避すべき人生の一大禁忌に属します。
  私はこれまでに、中国人のメンツを人前で失わせるような行動を三回やらかしています*1。そのたびに彼ら、彼女らの燃えさかるような情念に肌で接して驚き、もって教訓にさせてもらってきました。まあ教訓というより、んも〜、面倒くさいなあというのが本音ですが。
  メンツを失う典型的なパターンは、人の前で、自らの行動を否定されるというものです。例えば他の同僚がいる前でミスをとがめられる、お客さんのいる前で自分のプランが変えられるといったシチュエーション。一対一でとがめられたり、予定が変更されたりするのはまだ許容できるのです。第三者がいる前で、予告なしにそれをやられるのが何よりイヤなのです。
  ……と、ここでそのケーススタディ三つをご紹介できれば説得力が増すのですが、それを書いたが最後、私は今の職場にいられなくなります。ブログで過去のメンツ喪失体験を蒸し返されることほど、これまた著しくメンツを傷つけられることはないわけで。なにせ、このブログは職場関係者に「面割れ」しちゃってますし。
  とりあえず、中国人に批判的物言いをする時には必ず二人っきりでという、ごくありきたりで言い古された教訓を書いておくだけにとどめます。
  本当に面倒くさいのです。

*1:三十回かもしれませんが、そこはそれ、私がかなり鈍感なので。