インタプリタかなくぎ流

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はてなシュラン

id:michiyonさんからバトンを頂いた。以前なら迷わず東京は文京区向丘にあった「天安」を推していたが、残念ながら昨年閉店してしまった(id:QianChong:20040511#p3)。で、東京と北京から季節はずれの鍋のお店をそれぞれ一軒、ご紹介。
露地やま祢/東京港区西麻布1-10-8
http://yamane.cside.com/
fugu.jpg位置で言うと六本木ヒルズの六本木通りを挟んだ反対側あたり。住宅街の中に登場するアーバンであまり目立たない入り口。外観はとてもふぐ屋さんに見えない。ここは銀座の高級ふぐ屋さん「やま祢」の姉妹店。けれど老舗のふぐ屋さんのような敷居の高さがないので、若者(含む自分)でも気軽にふぐのフルコースを堪能できる。値段はさすがにそれほど気軽じゃないけれど。
懐石風の前菜が絶品! などと第一ラウンドで早くも打ち込まれているところにこの店独特の分厚く切ったふぐ刺しが登場。量もたっぷり。芸術的なまでに切りそろえられた薬味の浅葱と自家製のポン酢がすばらしい。ポン酢、飲み干したいくらい。
次のふぐ唐揚げで完全に打ちのめされる。深い味わい。他にも上品かつ控えめ(重要)なおねいさんがサーブしてくれるみそ仕立ての鍋、その後の雑炊まで、めくるめくふぐの世界に酔う。冬場以外にはいろいろ趣向を凝らしたコースもあるようだが、やはり冬にふぐを食べに行きたい。
能仁居/北京市西条区白塔寺5号
yangrou.jpg北京に行ったら(これもできれば厳冬期)ぜひ食べたい“涮羊肉(羊肉のしゃぶしゃぶ)”。東來順が有名だが、私は能仁居のほうが数段上だと思う。紙のように薄く切られた羊肉で、数秒間湯にくぐらせればすぐに火が通る。全くといっていいほど臭みのない上品な羊肉。何百年も羊肉を扱ってきた歴史の凄みを感じる。
この店のたれはお椀の中にアイスクリームのように盛られていて、香菜や香油(ごま油)や辣醤などを加えつつ自分で溶きほぐす。しゃぶしゃぶした羊肉をたれにつけて口に運ぶ→ビールを煽る→しゃぶしゃぶ→そのエンドレスな繰り返し。まわりのお客さんも冗談じゃないかと思うほどの羊肉をテーブルに積み上げて端から平らげている。合間に食べるニンニクの甘酢漬けがまたよく合う。最後に麺でしめるのも忘れないようにしたい。この店に行くといつも怒濤のような食欲に襲われる。
私はここ数年行っていないが、噂によると白塔寺周辺の羊肉料理店は一斉に立ち退きとなったそう。能仁居が今もこの住所にあるかどうか不明。
次はid:suikanさんにバトンをお渡ししたいと思います。