朝礼のあと、“拝拝”。これは日本でも行われている「安全祈願」に似た儀式で、プロジェクトの安全を祈って、作業や工事に参加するスタッフ全員で行われる。台湾ではプロジェクトの開始時だけでなく、作業の節目や特に重要な工事が始まる際にもたびたび行われている。
簡単な祭壇を作って肉や魚などの供物*1のほか、お菓子や飲み物や“紙銭*2”、それに御神酒と花を捧げ、安全主管の祝詞(といっても簡単に祈願の内容を述べるだけだが)のあと、全員で線香を胸前に掲げて三度のお辞儀をする。香港映画などで“公祭(告別式)”のシーンをたまに見かけるが、“一拝〜,二拝〜,三拝〜”というアレにそっくりだ。
今の現場で行われている工事は、かなり高度なエンジニアリングが駆使されているのだが、みなさん意外なほどこうした宗教儀式を重んじる。タンクの外から直接極低温の内部の画像を撮影するような、最先端技術を駆使した何億円もする装置の後ろに、川崎大師のお札がぺたっと貼ってあったりする。
話を聞いてみると、技術的に先端を行けば行くほど、どうしても理屈では割り切れないものが却ってハッキリとクローズアップされてくるのだという。自らの技術に自信があるからこそ、人知を超える何物かに対してもよりセンシティブになるということか。