インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ゴールデンタイムへの進出を期待しています

十年以上読み続けている、よしながふみ氏のマンガ『きのう何食べた?』。主人公が自分と同年代で、実際の時間の流れと同じ速度で歳を取っていくこと、中年期に「あるある」な自分の身体の変化や親との関係、働きながら家事も担当する(当たり前ですけど)男性……などなどの点でいろいろ共感するところが多いこの作品がテレビドラマ化され、録画しておいた第一話を見ました。

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私はもともとテレビドラマにはあまり食指が動かない人間で、大河ドラマ連続テレビ小説もゴールデンタイムの大型ドラマも海外の人気シリーズもほとんど見ません(仕事の予習で台湾ドラマを見るのだけは別ですけど)。そんな「見る目」のない私が言うのもおこがましいですが、『きのう何食べた?』の第一話を見て、ああやっぱりドラマになると全然違うんだなと思いました。

でもまあそれは仕方がないですよね。あらゆるドラマタイズはそういうもので、原作マンガとテレビドラマ、あるいは映画や舞台などとは分けて考える、あるいは別々の物としてどちらも楽しむ、というのが正しい姿勢なのでしょう。とはいえ今回の第一話、マンガに出てきたあれこれのシーンを上手くつなげて、原作にかなり忠実に作られていたように思いました。筧史郎と矢吹賢二、二人の主人公の造形はイメージ通りでしたし、法律事務所の「大先生」もさることながら、チャンカワイ氏の「若先生」はマンガそのままという感じ。次回以降は「佳代子さん」や「小日向さん」や「ジルベール」も登場するみたいで楽しみです。

西島秀俊氏演じる筧史郎の話しぶりは、自分がマンガから受けていたイメージよりもかなり「乱暴」な感じがしました。まあこれは、ファンの方には申し訳ないけれど、西島氏ご自身の演技力の問題だと思います。正直に申し上げて、演技は上手ではないですよね、この方。一生懸命セリフを言っている感が前面に出すぎていて。その点、矢吹賢二を演じた内野聖陽氏の演技の方がまだリアリティがあるかな、と思いました。

ま、この手の感想は極私的な独りよがりですからこれくらいにしておいて、私はこのドラマが深夜零時過ぎの枠で放映された点が興味深いと思いました。人気マンガのドラマタイズではありますが、主人公の二人はゲイということで、やはりまだゴールデンタイムとかメインストリームに載って放映されるというところまでは行かないんだな、これがいまの限界なのかなと。

もちろん、こうした作品がドラマになること自体がかつてなら想像もできなかったでしょうから、ずいぶん世の中が変わってきたような気もしますし、今後ますます多様な価値観が社会に浸透して広がっていく、その未来は楽観視しています。昨年は田亀源五郎氏原作の『弟の夫』もNHKプレミアムでドラマ化され好評を博しましたし、『おっさんずラブ』というドラマもヒットしましたよね。いまのところLGBTの「G」が突出している感じですが、今後も様々な作品が登場してくることでしょう。

LGBTのみならず、選択的夫婦別姓や、外国人労働者あるいは移民など、様々な人々の様々な生き方を肯定し、当たり前に存在しているものとして描くドラマ作品が、深夜枠ではなくゴールデンタイムなどに出てくるといいなと思います。例えば大河ドラマ連続テレビ小説などでこういう主題が取り上げられるようになったら、それもプロテストや問題提起じゃなくてごく普通の人間のありようとして描かれ、鑑賞されるようになったら(言うは易く行うは難しですが)素敵だなと思います。

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