インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

学んだ外語を忘れないようにするために

ある留学生からこんな質問を受けました。

センセは中国や台湾で暮らして中国語を学んだあと日本に戻ったそうですけど、その中国語をどうやって忘れないようにしていますか。

おおお、いいご質問です。確かに語学は筋トレのようなもので、外語はいわばその結果身についた筋肉ですから、鍛えるのをやめてしまうと、どんどん衰えていきます。そこで私はネット動画を使って「語学の筋肉」が落ちないようにしてきました。具体的には一つの動画を、①ディクテーション、②スラッシュリーディング、③音読、④シャドーイング、⑤リプロダクションするのです。これで「聽說讀寫(聴く・話す・読む・書く)」を一応まんべんなく鍛えることができます。

YouTubeにあるこちらの動画を使ってみます。

youtu.be

①ディクテーション

映像も参考にしながら、音声を書き取ります。手書きでもパソコンでも。聴き取りにくいところも、文章の前後から判断するなどして何とか埋めます。語順が比較的厳格な中国語の場合(英語もそうですね)、前後で判断して「ここは副詞のはず」とか「ここには名詞が来るはず」などと推理します。これには知らず知らずのうちに文法力がつくというおまけがついてきます。

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②スラッシュリーディング+③音読

書き取った文章を、句読点や意味が大まかに切れるところにスラッシュ(斜めの線)を入れながら読んでいきます。最後まで入れたら、文章を音読します。

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シャドーイング

スラッシュリーディングした文章を見ないでシャドーイングします。スピードについて行けない場合は、遅めのスピードからはじめて(音声再生アプリなどには、声のピッチを変えずにスピードを調整できる機能がついています)、でも最終的にはナチュラルスピードでついて行けるようになるまで繰り返し練習します。

⑤リプロダクション

スラッシュリーディングした文章を見ないで、リプロダクション(リピート)します。リピートする範囲は、スラッシュリーディングで切ったフレーズ単位からはじめて、最終的には一文まるまるリピートできるようになるまで繰り返し練習します。

……

一本のネット動画を使って「一粒で二度おいしい(このキャッチフレーズをご存じの方はたぶん四〜五十代でしょうね)」どころか何度もおいしくいただくわけです。もちろんこのあとさらにサイトラ(文章を目で追いながら、口頭で訳していく)やサマライズ(文章全体を要約する)など行っても「おいしい」です。

……とまあ、こんな方法をくだんの留学生に伝えましたが、ご参考になったかしら。

いままでに何人もの学生さんから同じような質問を受け、同じようにお伝えしてきたのですが、愚直に全部なさった方はほとんどいません。わははは、地味で面倒臭いですもんね。でも語学って、もともと地味で面倒臭い作業の繰り返しなんですよね。私の恩師の言葉を借りれば「泥臭い」作業の積み重ねが必要なんです。ご健闘を祈ります。

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https://www.irasutoya.com/2014/12/blog-post_810.html