インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

ディクテーター

はてなブログ今週のお題は「わたしは○○ナー」だそうです。「○○ナー」ではなくても、要は「〇〇が好きな人」的なネーミングでいいそうなので、そういうことなら私は「ディクテーター」かなと思いました。

ディクテーション(Dictation)、つまり音声を聞いて書き取るのが趣味みたいなものだからです。語学の練習として、また仕事の教材づくりの一環としてディクテーションを長年続けてきました。ただ聞いているだけでは理解できていなかった深いところまで、語彙単位で精緻に聞き取って確認できるディクテーションは、語学スキルの向上にとても有効だと思って学生さんにも勧めています。

qianchong.hatenablog.com
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例えば先日の、中国共産党大会閉幕直前に胡錦濤前総書記が突然退席した(させられた)件について、いや、三期目の習近平体制は恐ろしいなあなどと思いながら、中国語圏のメディアはどう報じているのかしらと、例えばこんな動画を探し出してディクテーションします。


胡錦濤"被離場"更早前畫面曝 還原關鍵經過 - YouTube

ディクテーションした後は、できれば「正解」と照らし合わせて聞き取れていたところ、聞き取れていなかったところを確認できると理想的です。上掲の動画は、報道元のウェブサイトにスクリプトが載っていたので、そこで確認することができました。スクリプトは細かい部分に若干の異同があることも多いですが、それはそれで聞き取り・聞き分けの練習になります。

news.ttv.com.tw

ただこのディクテーションは、きわめて泥臭い作業なので、学生さんにはまったく人気がありません。こうやってスクリプトがネット上に存在することがわかっているものはなおさら。くわえて現在は、たとえばGoogleドキュメントで音声入力を選べば、自動で、しかもかなりの精度で文字化してくれますから、学生さんにとってはもはやディクテーションをすることそのものが「ワケわかんない」でしょうねえ。ディクテーターとしては寂しい限りです。

……と、ここまで書いて気がつきました。ディクテーター(dictator)じゃ「独裁者」になっちゃう。ディクテーターが某超大国ディクテーターに関するニュースをディクテーションしてたんじゃ世話ねえやな。ディクテーション(dictation)する人なんだからディクテーショナーですよね(そんな英語はないでしょうけど)。