インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

カバーは備品なので回収します

先日帰宅途中に電車を乗り換える際、駅のコンコースにある書店でよしながふみ氏の『きのう何食べた?』第20巻を買い求めました。書籍はだいたいAmazonで買ってしまう私ですが、街の本屋さんがなくなってしまうのはかなりマズイのではないかと思っていて、応援の意味でもなるべく立ち寄るようにしています。

ネット環境で見つける本は、多かれ少なかれ自分の興味の及ぶ範囲に近いものが多いので、こうやってリアルな書店で「思いがけない出会い」を求めるのは大切じゃないかと思っています。また今回のように発売されて間もない人気マンガの新刊などは、店頭で平積みになっていることが多く、探す間もなくかんたんに買い求められます。というわけで今回も店頭で購入したわけです。

ご案内の通り、多くの書店では立ち読み防止のためか透明なフィルムでマンガ本がくるまれています。昨今はビニールバッグも有料になっていますし、紙のカバーを掛けてもらうのももったいないのでレジでは「そのままで」と言うことが多いです。

ただ、あの透明なフィルムにくるまれたまま渡してもらえたら、デイパックの中に放り込んでおいてもページがよれたりしないので、今回も「そのままで」と言おうとしたら、レジの女性がすばやくフィルムをはぎ取ってしまいました。それで思わず私が「ああ〜」と声を上げたところ、その女性はピシリとした口調でこうおっしゃいました。

これは当店の備品ですから回収します。

ええ〜そうなの? 備品ということはまた使い回すということ? それにしてはフィルムをぽいっと箱の中に捨ててましたけど? なんだか気持ちがモヤモヤして、いっそのこと「じゃあ要りません」と言って立ち去ろうかとも思ったのですが、深呼吸してSuicaで支払いをして書店を後にしました。


https://www.irasutoya.com/2020/05/blog-post_35.html

真相はわかりませんけど、あの店員さんは、素早くフィルムをはぎ取ったところで私は不満げに「ああ〜」と声を漏らしたので、とっさに自分の行為を正当化したのかもしれません。フィルムをはぎ取ってしまった以上、売ってしまわなければと。……う〜ん、多分考えすぎですね。というか、ちっせえな、私*1

リアルな街の書店を応援したいと思っていても、こういうことがあると私のような「コミュ障」の気がある人間は、だからネット書店が気楽で便利なんだよなあと思っちゃいます。最近はコンビニも、セルフレジがあるところばかり選んで行くようになっちゃってますし。

ああでも、あのときレジで中高年男性にありがちな居丈高な態度を取らなくて本当に良かった。モヤモヤした気持ちのまま電車を乗り換えて、また電車に揺られているうちに気持ちはすっかり落ち着いて、うちに帰って『きのう何食べた』第20巻を堪能しました。

*1:しかし、私はあのレジの女性のピシリとした口調に少しムッとしてしまったわけですが、これが日本以外の場所だったらおそらく「そういうもの」だってんで、全然気にならなかったはずです。