インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

紙幣の「1」をめぐって

いつも「巡回」して読んでいるブログの一つに『JUSTFONT BLOG』というのがあります。台湾の「就是字(Just Font)」というフォントベンダー企業が運営しているブログで、中国語の漢字のみならず、日本語の漢字も含めたフォントのあれこれが記事になっていて、毎回楽しんで読んでいます。

blog.justfont.com

先週は、五年後に予定されている日本銀行券(紙幣)のデザイン一新について特集されていました。特に漢数字やアラビア数字の字体について細かい分析が行われていて、なかなか興味深かったです。

blog.justfont.com

中でも面白いと思ったのが、新紙幣の表面に対処されることになったアラビア数字の字体についてです。一万円札は「10000」の「1」が上に斜めの線がついた字体であるのに対し、千円札は「1」がただの棒になっていて、これはなぜか? という「謎解き」をしているのです。わはは、よくそんな細かいところに気がつきますね。さすがフォントベンダーさんです。

有人說:「因為日文的一千元就是念『千円』哇!一不會出現。」也有人說:「為了盲人辨識。」還有人看了日本媒體的資訊,說:「為了方便辨識,看 1 的不同,比數 0 的數量快!」

なるほど、日本語では中国語と違って“1000 yen”のことを単に「千円」とだけ言い、中国語の“一千元”のように「一」がつかないからじゃないか、とか、視覚障害者が触って違いが分かるようにじゃないか、とか、「10000」と「1000」は単に「0」の数が違うだけで識別しにくいから、「1」の字体を変えたんじゃないか、とか……。どれもあんまり真面目な謎解きじゃない感じはしますが、本当のところはどうなんでしょうね。

さらにこの記事では、新紙幣のみならず、現行紙幣だって「1」の字体は違っているぞとして、一万円札の「1」は棒の下がスカートのように広がった字体であるのに対して、千円札の「1」はそれがなくストンと落ちた棒状になっていると指摘しています。これまたさらに細かいところによく気がつきますね。それがなぜかの謎解きはなされていないのですが、う〜ん、これはどうしてなんでしょう?

そう思いながら自宅にある一万円札と千円札をしげしげと眺めていたら、もう一つ新しい発見をしてしまいました。それは、現行の一万円札と千円札のどちらも、裏側(福沢諭吉野口英世の肖像がない方)の「1」は下がスカートのように広がった字体なのです。つまり表の「1」は違っているのに、裏の「1」は同じような字体なんですね。

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……しかし、新紙幣の発行は五年後だそうですが、その頃にはキャッシュレスが浸透して紙幣の刷新もあまり意味なくなるんじゃないかな。いや、世界一現金が大好きな日本人のことですから、そんな心配は無用かな。私自身はキャッシュレス化絶賛実行中なので、新紙幣にはほとんど興味がないんですが。