インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

しまじまの旅 たびたびの旅 20 ……台鐵便當

あちこち寄り道しながら、各駅停車の電車で台北に戻ってきました。これで台湾をぐるっと一周「環島」(沿岸部だけですけど)したことになります。

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台北駅に着いたのがちょうどお昼前だったので、駅で「台鐵便當」を買い、駅前の植え込みのそばに座って食べました。周りにも同じようにお弁当を食べている方がちらほら。この「排骨」がど〜んとのっている台湾ならではのお弁当、不思議にそれほど重くなくて、あっさり食べられちゃうんですよね。

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交通部臺灣鐵路管理局

台湾の人々の、この「排」好きは相当のものみたいで、台湾教育部(日本で言えば文部科学省にあたる行政機関)の『國語辭典』にはこう載っています。

【排】ㄆㄞˊ pái
[名] ❺ 排骨肉的簡稱。或指切成扁平狀的肉片。如:「牛排」、「豬排」、「雞排」。
教育部重編國語辭典修訂本

つまり、本来は骨付きバラ肉・スペアリブのことを指すんだけれども、骨がついてなくても広く「平べったい形状の肉」を「排」という、と。台湾の街を歩いていると「牛排」「豬排」「雞排」といった、この「排」を看板にしている飲食店をよく見かけます。

一方で「排」には「並ぶ・並べる・一連の……」といったような意味もあります。先日、勤務している学校で台湾の留学生が文芸翻訳に取り組んでいたのですが、小説に出てきた「專賣排餐跟義大利麵的餐館」という中国語を「コースとイタリアンのレストラン」と訳している人がいて、あれれっ? と思いました。「コース(料理)」は普通「套餐」というのですが、くだんの学生は「排餐」も並べる料理だから「コース」と思ったのかしら。

「排餐」を、例えばGoogleの画像検索などにあたってみると、まさに「牛排」や「豬排」や「雞排」の写真が検索結果に並びます。つまりこれはいわゆる「排」系の一連の料理を指しているわけです。それに「義大利麵」つまり「パスタ」を「專賣」しているレストランなんですから、この「專賣排餐跟義大利麵的餐館」は、日本で言えばたぶん「サイゼリア」とか「イタリアントマト」みたいなカジュアルなレストランでしょう。あるいは「排餐」だけなら「びっくりドンキー」みたいな(行ったことはないんですけど)。

ふだん「排」に馴染みすぎるほど馴染んでいるこの台湾の留学生、なまじ馴染みすぎているがゆえにうっかりしちゃったのかもしれません。