もうひとつ、先日参加してきた「SUSONO」のイベントでの話題です。対談のなかで松原亨氏が「日本の家電は『親切そうな顔をしている』」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。
確かに、日本の家電って、便利な機能が盛りだくさんで、それの説明も盛りだくさんで、取扱説明書を読むのもおっくうになるほどです。だから「親切」ではあるんですけど、そんなにたくさんの機能をすべて使いこなしている方はどれだけいるのかな。どのユーザーにも親切な顔をしようとあれこれ機能を盛り込んだ末に、どのユーザーにとってもあまり使い勝手のよくない製品になってしまっているのかもしれません。
Apple社の諸製品って、箱を開けると取扱説明書さえほとんどなくて、それでもどんどん使っていくことができて、ただ単に製品に触れていけば心地よい使用環境が待っていますよね。iPhoneやMacBookなどと生活家電を一緒に語るのも無理がありますが、日本の家電ももう少しシンプルで使いやすい設計思想になったらいいなと思っています*1。
実はこれ、義父と一緒に住むようになったときに、私たちが持ち込んだ家電の使い方を説明するのに一苦労したことからも痛感しています。機能をしぼって、分厚い取扱説明書を読まなくても体感的に使っていくことができる家電が一番助かるなあと思ったものです。
例えばうちで今使っている日本製の炊飯器。炊飯モードの選択肢がたくさんあって、まずは普通の白米か無洗米か、次に炊きあがりは「ふつう」か「もちもち」か「しゃっきり」か「熟成炊き」か、さらに炊飯のタイプとして「白米急速」か「炊きこみ」か「すしめし」か「おかゆ」か「おこわ」か「玄米」か「玄米活性」か「玄米がゆ」かを選べるようになっています。
買ったときは「すんごい、これ! いろんな炊き方ができるんだよ!」と興奮しましたが、使って数年、結局「無洗米のしゃっきり」だけしか使ってません。たまに「すしめし」と「炊きこみ」を選ぶことがあるくらい。
こんなに機能が盛りだくさんじゃなくてもいいから、毎日ふつうにご飯炊くだけのシンプルな家電がよかったなと今では後悔しています。次に買うときは、例えば台湾で売っている「大同電鍋」みたいに、オンにするスイッチがひとつついているだけ→炊きあがったら自動的に保温モードへ→切るときは電源コードを抜く、という究極的にシンプルかつ素朴な家電を選びたいと思っています。
先般、こういう本も出ましたしね。
はじめまして 電鍋レシピ 台湾からきた万能電気釜でつくる おいしい料理と旅の話。
でもまあ、よく考えたら保温機能も要らないんですよね、別に。炊飯だけだったらル・クルーゼやストウブの鍋でも簡単なので、もういっそのこと炊飯器自体をなくしてもいいかなとも考えています。