伊勢神宮や出雲大社といった「超老舗」の宗教団体から、金光教や世界救世教といった比較的新しい宗教団体まで、さまざまな宗教の総本山(ばちかん)を訪ねるルポ。ずっと昔に『芸術新潮』で連載されていたものをまとめ、オウム真理教に関する「序章」と、最新データに従った補遺等を加えた文庫版。
山口文憲氏一流の、控えめなユーモアによるツッコミもあるにはあるが、基本的には多彩で多様な価値観、世界観を肯定的にとらえようという姿勢に貫かれている。だからこうした宗教団体の負の側面についてはほとんど語られていないし、それを目的としてもいない。
宗教団体、特に「大手」の新興宗教団体は、その特異な建築がひときわ目を引く。『芸術新潮』連載時にはそれらが大判のきれいなカラー写真で堪能できたが、文庫版には写真がかなり少ない。というわけで、インターネットで教団のホームページを訪ねたり、グーグルアースで巨大建築を確認したりしながら読むのがオススメ。天理教の「おやさとやかた」など、すごいことになってる。