インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

通訳スクール

  今日の「お題」は、台湾で開かれた通訳・翻訳に関する某学会の研究発表。例によって生徒が交代でスピーカー役になるので、事前に自分の担当部分を三読するも……む、難しくてなかなか全体像が把握できない。特に翻訳の客観的・定量的評価方法に関する理論と実験結果を発表した論文は、かなり手強かった。
  とりあえず自分がスピーカーになる部分はスラッシュだけ入れておき、ほかの部分については少なくとも専門用語だけはまごつかないようにと予習をして望んだのだが……。
  最初から同時通訳訓練でブースに入る。よりによって英語のテクニカルタームが頻出する、えらく難しい部分に当たってしまう。今日は原稿が前もって提供される形の同時通訳だったのだが、ただでさえ理解に自信が持てない原稿を、徹頭徹尾忠実にサイトラしようとしたらメロメロになるのは目に見えていたので、できるだけ大づかみで「フレンドリー」な訳出をしようと心に決めてブースに入る。
  「フレンドリー」な訳出というのは私が勝手に思い描いているだけのイメージなのだが、単にできるだけ自然な口調で、できるだけ平板にならないように訳出すること。声の抑揚を意識して、「〜なんですよね」みたいな口語調で、さも「ギョーカイ」ふうなノリで。
  果たして、フレンドリーではあったかもしれないが、多分に不実な訳出になってしまった。あああ。