インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

出張終了

  中部国際空港で一行を見送って、釧路と豊橋への出張終了。

  見送った瞬間、旅行会社の添乗員さんと顔を見合わせて、どちらからともなく「疲れたね〜」と深いため息をつく。確かに“入鄉隨俗*1”という言葉を本国に置き忘れてきたかのような一行の無軌道ぶりに振り回された一週間だった。とはいえ、添乗員もバスの運転手もそして私も「いつものことだから」と、かの国の人々に対して一種の「諦念」ができあがっているのがなんとも複雑な気持ちにさせられる。
  とはいえまあ日本人だって、かの国ではずいぶん“出門在外,不怕丟醜*2”な行動に走る方を何人も見てきたが。
  ひとさまの国では、普段より三割がた控えめに行動していただきたい。もって他山の石としよう。

追記

  『とくダネ!』で、米原万里氏の特集をやっていた。そこで紹介されていた氏の言葉。

人生で食事の時間は限られている。
一度たりともまずいものを食べたくない。

  わはは、激しく同感。
  今回の出張では、食事が辛かった。私は一行とは別会計になっていて、自分で食事をとらなきゃならなかったのだが、特に豊橋では、泊まったホテルがかなり辺鄙なところにあって、周囲にほとんど食事をできる場所がなかった。そして私は、人からいくら「贅沢だ」「何様だ」と指弾されようと、ケミカルな味わいのコンビニ弁当にだけは金輪際手をつけたくない*3。こういうときはいっそ何も食べないほうがまし、と缶ビール飲んで寝てしまう。
  選手たちは、予算の都合もあるのだろう、毎回郊外型のファミリー・レストランみたいなところで焼肉や寿司や各国料理のバイキングを食べさせられていた。これも本当にかわいそうだと思う。
  こう言っちゃ何だが、中国人というのは食に対してかなり保守的な人々なのだ。それはもちろん中華料理という一大体系をふところに抱えていて充足しているからだが、日本人みたいに朝はパン食で昼はカレー、夜に中華を食べて明日はイタリアンなどというクロスオーバーな食生活ではみるみる元気をなくしていく。
  むしろ毎食大皿で中華の炒め物二〜三品に白いご飯でもどぉんと用意してあげれば、喜ばれただろうに。山盛りの白いご飯を片手に、おかずを箸でむんずとつかみ、ご飯の上でちょんちょんとさせたのち、ご飯もろともかきこむっちゅ〜のがたまらん! という人々なのだ。添乗員は中国人だったので、その辺の事情はよく分かっているはずなのにね。それすら用意できないほどの低予算だったのかもしれない。
  私などが口出しすることでは全くないが、チームのオーナーやリーグの主催者は、もう少し環境を整えてから選手をこのアジア三カ国で開催するリーグに参加させるべきだ。経済的にもこの種目の実力的にも、またスポーツに対する意識の上でも全然違う環境にいる選手を、同じ土俵で戦わせるのは無理があるんじゃないか。僭越ながらそう思った。

*1:郷に入っては郷に従え

*2:旅の恥はかき捨て

*3:若い頃、一生分食べたから。