インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

語学クラスにおける日本人と華人の「生態」の違い

語学の授業をしていると、日本人(日本語母語話者)の生徒さんと華人(中国語母語話者)の生徒さんでは生態(失礼)がまったく違うことに気づきます。

日本人の生徒さんはとにかく静かです。語学の授業なのにずっと押し黙っていて、「分かりました?」とか「質問はありますか?」と問いかけてもほとんど反応がありません。促せばリピートだってロールプレイだってしてくださるので、やる気がないわけじゃないんでしょうけど、とにかくシーンとしていて、盛り上がらない。

声を出して練習するときも、その声が小さいです。芝居っ気ももうひとつ。ずっと下を向いて、できるだけ指名されまいとプロテクトしているように見える方も多いですね。かつて中国留学時に、中国の先生方が「正直、日本人留学生のクラスはやりにくいの〜」とおっしゃっていたのを思い出します。

そこへ行くと華人の生徒さんはとにかく賑やかです。特に通訳訓練などで誰かに当てたときなど、当たっていないのに答える人がいたり、当たった人にアドバイスする人がいたり、訳出が終わっても「そこは○○なんじゃね?」みたいに言う人がいたり。それで「はいはい、まずは当たった方が答えて下さいね。そのほかの方はとりあえず小声で訳出して」などと毎回申し上げることになります。

ところが面白いのは、華人でも、当たった方ご自身は声が小さくて「自信なさげ」なんですね。これは日本人と同じ。つまり華人は、自分が当たっていないときは不規則にどんどん発言してくるようなのです。こんな言い方はちょっと意地悪ですけど、自分に責任がない場合にはいきおいフリーハンドで大胆になれるというか。

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https://www.irasutoya.com/2015/04/blog-post_51.html

もちろん日本人にしろ華人にしろ、例外はあります。日本人でも賑やかな人はいるし、華人でもずーっと押し黙っている人はいます。だから安易に「○○人はこう」と一般化はできないのですが、総じて華人のクラスの方が賑やかで、いつも「わいわいがやがや」しています。私はこっちの方が断然授業がやりやすいです。

わいわいがやがやしていたら授業にならないんじゃないの? と聞かれることがありますが、そこはそれ、義務教育でも何でもない大人のための語学クラスですから、こちらも別に抑えつけたりしませんし、できません。それに大事なことはあえて控えめな声で話すと、逆に静かになるものです。みなさん自分の利益には素直ですから。

ただこれは実に興味深いのですが、授業でいつも賑やかな華人も、在日経験が長い方ほど静かというか、周囲の空気を読んでらっしゃるように見受けられることです。もちろんこれも例外はありますが、日本語学校を卒業したばかり、あるいは中国や台湾などの高校を卒業してすぐに入学してくる華人留学生が多い日本語学校や専門学校などではおおむね「わいわいがやがや」ですけど、在日経験が長く、すでに日本の企業などで働いてらっしゃる華人が多い通訳学校などではおおむねみなさん「日本人化」(?)してしまっているように感じられます。

かくいう私も本質は典型的な日本人マインドなので、自分が生徒の立場で通っている語学学校では、ご多分に漏れず空気を読みがちです。それで、フィンランド語の教室などでは先生の問いかけに積極的に大声で答えているんですけど、周りの生徒さんはいささか暑苦しく感じていらっしゃるかも……などと根拠のない「忖度」をするところがまた日本人的なマインドかもしれません。