インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ごくごくシンプルな「ワインの選びかた」

年末に都内某所のビストロで忘年会をやったのですが、「ワイン、分からないから選んで~」と言われました。注文した料理を念頭にワインリストを見ながら選ぶ、あるいは「宅飲み」用に選ぶのは楽しいものですが、ワインの知識がないと戸惑っちゃいますよね。というわけで、まことに僭越ながら私が「昔取った杵柄」で、できるだけシンプルなガイドを書いてみたいと思います。

泡か白か赤か

まず、ワインは泡と白と赤に大別できます。泡というのはしゅわしゅわと発泡するワイン。白と赤は説明不要ですね。ほかにもロゼや酒精強化ワイン(ポート・マディラなど)もありますが、語り出すとキリがないので、この三種類でじゅうぶんです。

白は魚料理、赤は肉料理などと言われますが、これもお好みしだい。ただ、どちらかと言えば白はあっさり・淡泊系の料理に、赤はこってり・濃厚系の料理に向きます。泡はどんな料理にも合う万能選手。一人や二人でレストランに行くときなど何本も飲めないので、最初から最後まで泡で通すこともできます。

軽めか重めか

それから、ワインはもうひとつ、軽めの味わいと重めの味わいに大別できます。泡は基本「軽め」。白と赤はそれぞれ「軽め」と「重め」に分かれます。ワインショップでは通常、産地別にワインが並んでいますが、分かりやすくこの合計5つの区分で並べているお店もあります。

というわけで、「泡か白か赤か」と「軽めか重めか」の二つの区別でマトリックスを作ってみると、こうなります。

 
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ぶどうの品種

ワインの味わいは、主にぶどうの品種によって大きく異なります。品種はものすごくたくさんあって、これも語り出すとキリがないので、ここではごくごくシンプルに、①泡、②白軽、③白重、④赤軽、⑤赤重の代表的な品種(というか私の好み)を上記のマトリックスに当てはめてみます。

 
①スパークリング リースリング ピノ・ノワール
  シャルドネ カベルネ・ソーヴィニヨン

①スパークリング……これだけは、ぶどうの品種名じゃなくて「発泡性のワイン」という意味です。さまざまな品種で作られます。フランスのシャンパーニュ地方で規格に沿って生産されたもののみシャンパーニュシャンパン)といい、それ以外はスパークリングワインといいます。シャンパーニュはけっこうお高いですが、スパークリングワイン、例えばスペインのカヴァ(CAVA)などにはお手軽価格でおいしいものがたくさんあります。

リースリング……は、きりっとした酸味とほのかな甘みが特徴の品種です。爽やかな甘酸っぱさが一日の疲れを癒やしてくれるような気がして、飲むと幸せな気分になります。ドイツや、フランスのアルザス地方のものが有名ですが、なかには甘口ワインがあるので、買うときには「これは辛口ですか」と確かめてください。

※甘口と辛口について
食事に合うワインは基本的に「辛口」です。「甘口」ワインは本当にデザートみたいに甘いので、例えば「中甘口」などと書かれていても、通常の食事には合わせにくいと思ってください。

シャルドネ……は、一番ポピュラーな品種で、格安ワインから、フランスはブルゴーニュの高級ワインまで幅広く使われています。「宅飲み」用のお手軽価格(≒比較的軽い味わい)のものなら、きりっと冷やして飲むのがおすすめです。あ、基本的に泡と白は冷やして、赤は常温で飲む方がおいしいです。

ピノ・ノワール……は、赤ワインのなかでは比較的酸味があり、渋みは少なく、軽めの味わい。色も薄めです。フランスはブルゴーニュのものが有名ですが、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどでも多く作られています。

カベルネ・ソーヴィニヨン……は、渋みがあってどっしり濃い味わいが多いです。舌が紫色に染まる感じ。フランスはボルドーのものが有名ですが、世界中の産地で作られているポピュラーな品種です。

ブルゴーニュボルドーについて
フランスの二大ワイン産地で、ごくごくシンプルに言ってしまうと、ブルゴーニュ=軽い、ボルドー=重い、という感じです。ブルゴーニュワインはなで肩の瓶、ボルドーワインはいかり肩の瓶で、世界中のワイン産地ではだいたいこの分類でワインを瓶詰めしているため、瓶の形で味わいが(だいたい)分かります。

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▲左が「なで肩」のブルゴーニュ(軽め)、右が「いかり肩」のボルドー(重め)。
https://www.irasutoya.com/search?q=%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%B3

飲む順番

「宅飲み」では自由に飲めばいいんですけど、ワインの味わいは基本的に①→⑤の順番でどんどん重くなっていくので、いちおうこの順番で飲むとそれぞれの味わいをより楽しめると思います。重いものを先に飲むと、あとで軽いものを飲んでも味わいが分かりにくいのです。①泡は「とりあえず、ビール」的に最初の乾杯に向いていますし、⑤赤重はメインのどっしりした料理に向いています。

ワインを選ぶ

ワインショップに行って、胸に「ぶどうバッヂ」をつけている店員さんがいたら、ソムリエかワインアドバイザーなどの資格を持っている方です。「ピノ・ノワールみたいな軽めの赤」とか「カベルネ・ソーヴィニヨンみたいな重めの赤」などと大体の好みと予算を伝えれば、ほかの品種の面白いワインも紹介してくれるでしょう。そうやってプロに聞くのが一番ですけど、自分で選ぶ際も①から⑤までの区分で選べばそう大きく好みを外すことはありません。どんな品種が使われているかは、瓶のラベルや棚の値札に書いてあることもあります。

スーパーでもよく売られている、チリの「コノスル」シリーズは、バラエティ豊かな品種がラインナップしていて、①から⑤まで全部揃っているので、品種の違いを飲み比べるのも楽しいと思います。自転車の絵が入った「ビシクレタ」シリーズなら1000円以下ですし、お買い得です。

conosur.jp

このオフィシャルサイトに載っている、コノスルの「ビシクレタ」シリーズを①から⑤までに当てはめてみると、おおよそ以下のようになります。

①泡:ブリュット(BRUT:辛口)/ロゼ
②白軽:リースリングヴィオニエ
③白重:シャルドネソーヴィニヨン・ブラン
④赤軽:ピノ・ノワール
⑤赤重:カベルネ・ソーヴィニヨンメルロー/シラー/カルメネール

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コノスルヴァラエタルシリーズ

それからもうひとつ、コノスルは「ゲヴュルツトラミネール」という品種も出していて、これもスーパーでたまに見かけます。味わい的には②~③で、かつ「ほの甘」ですが、ライチの香りがしてエキゾチックなので、香辛料の効いた中華料理やタイ料理なんかにもよく合います。個人的にはとてもおすすめです。


コノスル ビシクレタ ゲヴュルツトラミネール ヴァラエタル [ 白ワイン 中辛口 チリ 750ml ]

ワインは勉強し出すと、これはこれでとても奥深い世界ですが、上記のような最低限の知識でもそこそこ楽しめます。もちろんこれはかなり大雑把な立て分けです。②白軽のリースリングや④赤軽のピノ・ノワールにも「どっしり」したものがあったりしてバラエティ豊かなので、興味を持たれたら関連の書籍やワインスクールでさらに「ハマって」しまうのもいいと思います。