留学生と一緒に、今年のCCTV春節聯歓晩会で上演された“小品(寸劇)”を見ました。旧暦の大晦日に生放送され、全世界の華人が十億の単位で見るという同番組。同僚の中国人講師に言わせると「年々面白くなくなってきてる。ここ数年はほとんど見てない」ということで、何だか某国の大晦日に放送されている番組と似たような状況になっているようですが、まあ私は中国の、カッチリと作り込んだ寸劇が割と好きなので、“小品”だけは見るようにしています。
今年の“小品”は以下の六本でした。
我要上春晚
想跳就跳
大城小事
摊上事儿了
今天的幸福2
搭把手不孤独
……う〜ん、確かに往年に比べてインパクトが少なくなってるかなあ。数年前までは春節直後の教員室で、中国人講師が「あのセリフ、面白かったよね」などと感想を言いあってるのが聞こえたものですが、今年はほとんどありませんでした。
個人的には、二本目の『想跳就跳』が一番面白かったかな。でも六本のいずれも、俳優の演技は確かです。なにせあの巨大な人口の中で競って競って、この大舞台に出られるまでなった人たちですからね。ひとつのセリフの間違いも、中途半端な動きもありません。が、そこが逆にカッチリしすぎていて、日本のコントなどに慣れた眼からすると面白味に欠けるということになるのかも知れません。
それにしても留学生は、あたりまえですけど全部きちんと聴き取れるんですよね。私もまあだいたいは聴き取れますけど、やはりところどころは留学生が笑うのにつられて笑ってるというのが正直なところ。こういう話芸で笑えるためには、言葉のみならず、子供の頃からの生活体験や風俗習慣などの深く広い知識が必要なのだと思います。
くやしいので(^^;)、日本の漫才も留学生に見せてみました。関東の漫才師で一番好きなナイツ*1のネタです。
宮崎駿
日本のアニメやマンガには私以上に造詣の深い留学生諸君ですが、やっぱり「どうしてここで笑うんですか?」的ポイントがいくつか。これはねえ……と、一つ一つ説明しようとする度に、膨大な言葉を費やさなければならないことに気づきます。その言葉の文化背景が深く深く身体に染み込んでいなければ理解できない部分が多いのです。落語や漫才の演芸で笑えるというのは、実はすごいことなんですよね。
最近の日本のお笑いはドタバタするだけの芸に落ちぶれつつあるような気がしますが、そこへ行くと中国の演芸は、良くも悪くもキッチリしています。単に奇抜な動きや顔で笑わせようとする類いの芸はあまり尊敬されず、おもわず「うまい!」“好!(いいぞ)”と叫びたくなるような「言葉の芸術*2」を目指しているものが多いと思います。
留学生のみんなには、日本にいる間にぜひぜひ寄席や演芸場に行ってみるといいよ、それから能や狂言や歌舞伎もねとオススメしておきました。