インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

慰安旅行

いま関わっているプロジェクトが今月末でほぼ終了し、私を含めほとんどの日本人スタッフが帰国することになった。というわけで、クライアントさんがまた慰安旅行を企画してくださる。二年半も台湾にいて、観光地にほとんど行ったことがないので、とてもうれしい。
一日目は台湾中部の山あいにある埔里という街へ。ここは台湾産紹興酒(というのもおかしな表現だが)の里というので、酒造工場を見学に行く。醸造関係の展示より、921大地震で大きな被害を受けた際の写真などのほうが印象深かった。
そのあと日月潭に行く。おりから小雨が降っていたが、そのせいで雲海が立ちこめ、とても幻想的な風景で心底感動した。船で湖の中央にある小さな島へ渡る。いまは水面にほんの少しだけ顔をのぞかせた岩場のようになっているこの島は、やはり921大地震の際に大きく沈下して、いまのような姿になったのだそう。以前は日本統治時代に建立された神社があったそうで、その石段だけが傾いたまま残っていた。
日月潭の周辺、植生が何ともいえずすばらしい。熱帯雨林風の雑木林に混じって、あちこちに自然の竹林が折り重なり、野生のバナナやシダやコケなどとあいまって、いかにも台湾らしいエキゾチックな風景になっている。そこにお寺の伽藍が絡んだりして、これは欧米人にもうけるだろうなあ。
泊まったのは、涵碧楼といういかにもリゾ〜ト〜という作りの、ものすごくデザインがかっこいいホテル。暖炉つきの部屋からは何の遮るものもなく日月潭の湖面が迫り、ときおり野鳥の声も聞こえる。シーズンオフなのか、人も少なくて本当にゆったりできた。次に新婚旅行にくるときは、ここだな、ぜったい(笑)。
このホテルはなんでも蒋介石さんに関係のあるところだそうで、氏が礼拝を行ったキリスト教会なんてのが近くにあったりする。従業員も、まあこれは先入観のなせるわざだろうけどみなさんかっこよくて、マオカラーのシンプルな制服がきまっている。
http://www.thelalu.com.tw/index.htm
二日目は台中のそばを通り抜けて鹿港という古い街へ。ちょうど天后宮のおまつりだったようで、爆竹とチャルメラと太鼓と鉦の鳴り響く中、ものすごい形相の人形が練り歩くさまを見ながらおいしい蚵仔煎(小さな牡蛎のお好み焼きふう)を食べる。こんなにおいしい蚵仔煎、はじめて。
今日の新聞に我々のプロジェクトに関する記事がでかでかと載ったこともあって、携帯電話で各方面と連絡を取りながらという、急に現実に引き戻されてちょっと興ざめな部分もあったけど、ひさしぶりにとてもゆったりと台湾らしい観光地をまわることができた。