インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

我的心,内外翻轉過來。

この記事に添えられていた、米榭兒(ミシェール)のイラスト。先週日曜日の《聯合報》文芸欄に王文華のエッセイが載っていたのを、今日になって見つけた。このあいだ「店員ぎらい」について駄文を書いたのだが、とても似通ったテーマだ。時々こういう「シンクロニシティ」を味わう。
もっとも王文華は私などと違い、店員の「攻勢」に対して前向きだ。シンガポールで学会に参加した王氏、エアコンの効きすぎに業を煮やして上着を買いに出かける。店には“我見過最棒的銷售小姐*1”がいた。

好,我自己先招認,如果不是因為她長得可愛,我可能不會寫這篇文章,也沒有這麼多感嘆。但她的可愛留給我自己,我想跟你分享的,是一個嚴肅的商業議題。
オーケー、先に白状しておこう。彼女が魅力的じゃなかったら、おそらくこの文章を書くことはなかったろうし、こんなに感心もしなかった。とまれ、彼女の魅力は僕が引き受けるとしよう。ここで紹介したいのはマジメなビジネスの話なんである。*2

惜しみない笑顔をふりまく彼女、「リップカラーはパイナップルのようにまばゆい(ってどういうことかわからんが)」んだそうだ。
で、「上着が見たい」という王氏を売り場に案内した後は、軽やかにその場を離れ、棚の洋服を畳み直している。ぴったりそばに張りつくようなことはしない。それでいて「パンツもコーディネイトされませんか」とさりげなく勧め、王氏が「いらない」と言うと、あっさり「じゃ、こちらへ」とレジへ。押しつけがましさがみじんもない。

帶我去結帳時,她還細心地叮嚀,「您第一次洗的時候,要把衣服內外翻轉過來喔!」離開服飾店,我的心,內外翻轉過來。
レジに僕を案内した彼女は、かんでふくめるように「最初に洗うときは、服の表裏をひっくり返してくださいね〜」と言う。 店を後にした僕の心も、すっかりひっくり返されてしまっていた。

うまいなあ。王文華はこういうユーモアに実に長けている。
王氏はこのあと、「彼女」の接客態度を分析して、それを“温柔的侵略(心優しき侵略)”と呼ぶ。西洋式の押しの強いセールスでは客はついてこない。かといって“中國人”の控えめで尻込みしたような方法*3では売り上げはおぼつかない。双方を折衷した“温柔的侵略”、これこそセールスの神髄であり、そういう態度はあの「彼女」のような自らの仕事における情熱と尊重、すべての顧客にまるで初恋の相手のように接するあの態度から生まれてくる、というのだ。
……このへんの解説、なんだか《蛋白質女孩》の“張寶”を地で行っている。

*1:これまで出会った中ではダントツに「デキる」販売員のおねえさん。

*2:何だか昔懐かしい「昭和軽薄体」みたい。嵐山光三郎氏とかね。

*3:私はここ、大いに異論があるが(笑)。