インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

英語の教材や学習コンテンツの多さにおののく

今年は英語の学習にもう少し力を入れようと年始に思い立って、いろいろと試してきました。ひと月ほどいろいろと手を出しはじめてみてあらためて思いましたが、英語ってほんとうにたくさん教材があるんですね。昔からある紙素材(書籍)のテキストや単語帳や問題集はもちろん、ネットではオンライン英会話や学習アプリが選ぶのに困るほど並んでいます。

英語学習のコンテンツを発信している方もものすごく多くて、動画サイトをはじめ、ブログなどでも本当に多くの方が、学習法やお役立ち情報やご自身の体験などを紹介されています。なかにはご自身の商売と結びつけたい意図が透けすぎているように思えるものもありますが、多くの方がとても真摯に英語学習に向き合っておられて、尊敬の念をいだきます。

ただ私は、こうした数多くの教材や学習コンテンツを目の当たりにして、あらためて英語学習熱、それも私たち日本人(日本語母語話者)の英語学習熱の高さに、ちょっと感動……いや、感動とは違うな、なんというか、ちょっと慄き(おののき)のようなものを感じてしまいました。これまでも重々承知していたつもりでしたけど、私たちの英語に対する情熱というか執念というかコンプレックスというか……はやっぱりちょっとすごいんだなと。


https://www.irasutoya.com/2018/08/blog-post_893.html

かつて私が中国語を学び始めた頃は、まだインターネットも黎明期でしたから、学ぶための教材も学習コンテンツもいまと比べればかなり少ない時代でした。その当時からすれば現代は中国語の学習環境も激変して信じられないくらい豊かになりましたが、私個人の感覚ながら、英語の学習環境はそれとは比較にならないほどさらに豊富だと思います。それをこの一ヶ月ほどの観察であらためて感じました。

これからは英語だけでなく、中国語も世界を席巻してゆくだろう、だから今のうちに中国語もマスターしておきたいと考える日本のビジネスパーソンが増えていると聞いたことがありますが、私は正直に言って「どうかなあ」と思っています。それはこの学習環境の圧倒的な物量差にも見て取れるのではないかと。もちろん将来において特定の分野で中国語が有用ということはあるでしょうし、基本は英語でやりとりしていても本音のところで中国語が解せたほうがいい、みたいな需要もあるかもしれませんけど。

それにしてもこの英語学習熱。自分も語学好きで、いろんな言語に手を出してきましたからあまりこんなことを言う資格はないのですが、私のような歳をとって語学がほとんど「ボケ防止」のためみたいな人間はともかく、お若い方が自分の時間と労力をここまで使って英語の習得にかけてらっしゃるのを見ると、ちょっとだけ不安かつ複雑な気持ちになります。

言うまでもなく語学の習得には、なかんずく仕事に使えるくらいのレベルまでの習得には、膨大な時間をかけた学習と訓練が必要です。それはすなわち、その人の人生の中でそれ以外のものをかなり抑制しなければならないということを意味しています。そこまで人生を英語に傾けてしまっていいのかなって……え、そんなことない? 英語が使えることだけが目的ではなく、英語を使って何をするのかまで考えているんだから大きなお世話ですって?

いや、ごめんなさい、それだったらいいんです……そうですよね。

qianchong.hatenablog.com