インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

歯の健康と経済状況、そしてQOLの向上

東洋経済オンラインに、興味深い記事が載っていました。マンガ『闇金ウシジマくん』の作者・真鍋昌平氏の、取材で出会った人々に関する述懐です。

toyokeizai.net

「カウカウファイナンス」で働く従業員の過去も描いた「ホストくん」編では、50人くらいに会った。テレクラで売春する母と家出中の娘が物語の中心となる「テレクラくん」編では、竹の塚(東京・足立区)のテレクラに1日いて40代以上の女性に会い、ラブホテルで話を聞くということをした。

そのとき会った人は歯の抜けている人たちが多かった。幼いときに親が歯磨きをしてあげていたか。虫歯の治療にお金をかけられるか、歯の状態には、育った家庭環境や現在の経済状況が表れる。歯はそういうバロメーターなので、マンガでは意識的に描き分けた。

「歯の状態には、育った家庭環境や現在の経済状況が表れる」。これは本当にその通りだと思います。かなり前に、通訳学校で歯科医師の方を招いて講演をしていただき、通訳訓練を行ったことがあるのですが、アメリカでの歯科医療の経験も長い先生が「アメリカでは歯並びが社会的ステイタスの一つになっています。つまり、歯列矯正を行えるだけの富裕層だという証なんですね」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。

確かに、歯列矯正には少なからぬお金がかかります。日々の暮らしに「かつかつ」の状態であれば、そんなところにまずお金はかけられない。歯列矯正まで行かずとも、虫歯の治療もそこそこお金がかかる……真鍋氏がおっしゃるように歯の健康と家庭の平和や経済状況はかなりリンクしてくるのでしょうね。

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https://www.irasutoya.com/2015/07/blog-post_314.html

ところで、歯の健康に関しては先日、NHKの『ガッテン!』で興味深い内容が放送されていました。日本人は虫歯になる人が多く、40代で虫歯のある人がほぼ100%というデータもあるそうです。ところがこの数字を劇的に減らすことに成功した国があって、その「虫歯予防先進国」としてスウェーデンが紹介されていました。

www9.nhk.or.jp

番組に登場したスウェーデン人の歯、特に高齢者の歯の「きれいさ」に驚きました。かなりの高齢になっても歯があまり欠けておらず健康で、入れ歯の人も少ないというのです。その秘密として紹介されていたのが歯磨きの方法なのですが、その「イエテボリ・テクニック」と呼ばれる歯磨き法がなかなか興味深かったです。

1995年に発表されたというこの「イエテボリ・テクニック」は、歯磨き粉の中に含まれている虫歯予防のための成分・弗素(フッ素)を、歯磨き後もできるだけ口中に残すことを目的としています。具体的には、歯磨きをしたあと「口をゆすがない」のです。水で口をゆすいでしまうと、せっかく歯の表面にコーティングされた弗素が流されてしまって、虫歯予防の役割を発揮できないのだと。

う〜ん、これは面白い。私は幸い、現在のところは虫歯がない状態を維持しています。これは十年ほど前に「中年になってからの歯列矯正」をしたあと、ほぼ半年に一回のペースで検診を受けることを継続してきたからですが、できればこのままの状態を老後も維持したいと思っています。なんといっても自分の歯できちんと食べることができるというのは、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)に直結する大問題ですから。それで、さっそくこの「イエテボリ・テクニック」を実践してみようと思いました。

とはいえ、食事をしたあとに歯を磨き、その後口をゆすがないというのはかなり抵抗があります。ちょっと汚い話ですが、食べ物の残り滓などが口中に残っているような感覚があるんですよね。でもこれ、一度磨いてまずはこれまで通り口をゆすぎ、あらためてもう一度磨けばよいのだと気づきました。ということでここ数日、実践中です。やり方は以下の通り(上記ウェブサイトより)。

1.フッ素配合の歯みがき粉をたっぷりと使う(目安は2cm)。
2.歯全体に歯みがき粉が行き渡るように意識して2分程度歯みがきを行う。
3.口の中の泡を吐き出したあと、口をゆすがない(私はここで一度ゆすぎ、もう一度1.に戻ります)。
4.歯みがきのあと、2時間飲食をしない(間食をほとんどしないので、これは大丈夫)。

やってみると分かりますが、口の中の泡をきっちり吐き出してしまうと、思ったより気になりません。そして数分も経つと全く気にならなくなり、むしろ爽快感が持続する感じがします。これはなかなかいいですね。歯磨き粉自体は安価なものだし、歯科医にかかることを考えればこれは究極の虫歯予防法、そして老後のQOLを向上させるための方法になるかもしれません。