インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

派遣講師

  今日からまた某スクールの集中講座、第二弾。中国語の「いろは」、じゃなくて“bopomofo”から学ぶ入門コースだ。このスクールに限らず、中国語の派遣講師としてあちこちにおじゃましていると、いろんな方がいらっしゃる。
  アルファベットを使った「ピンイン」で中国語の発音を学ぶと知って、びっくりされる方がいる。そりゃそうだよね、中国語=漢字ばっかりというイメージだから。
  中国語の発音を学ぶ上で、漢字を全く知らない諸外国の人々より日本人は不利な立場にある*1、ということを説明すると驚く方がいる。日本人は漢字を見ると反射的に日本語の漢字の発音が脳にひらめくから、中国語の発音の習得に干渉するのだ。
  慣れないピンインをなかなか覚えられず、ピンインに片仮名をふって読む方がいる。それは仮名に仮名をふるようなもので、日本語の仮名で中国語の発音を表記できないからこそピンインを使うのだと説明するのだが、なかなか分かってもらえない。
  「私は中国語を学んだことがある」という生徒さんに教科書を読んでもらったところ、「我想うに……」と漢文読み下し調で朗誦された、という嘘のようなホントの話を聞いたことがある。ある先生の体験談。
  ロールプレイが恥ずかしくてどうしてもできないという方もたまにいる。語学学習には多少の「芝居っ気」が欠かせないのだけれど。
  大きな声で、口を大きく開けて練習しましょうと言うと、「人前で大きな声など出せない」「男性に口の中を見られたくない」という方もいる。
  会話練習として、「どこにお住まいですか」「お仕事は何ですか」などを使ったところ、教務のほうから「プライバシーに関することなので、そういう設定は控えてください」と言われたこともある。生徒さんからクレームがついたのだそうだ。
  実にいろんな方がいるなあ。私はそのたびに右往左往して苦心惨憺なのだが、中国語ネイティブの先生方はひと味違う。概してどっしり構えて揺るがない*2。自分の母語だという自信からなのか。
  もうずいぶん前になるが、ある生徒さんをめぐって教学方法を相談していたら、ペアを組んでいた中国人講師が「あの生徒は高等教育を受けたことがないね」とバッサリ。「あわわわ〜、ご本人の前ではそういう言い方しないでね〜」とうろたえる私。でもなぜそう思ったのかを聞いてみると、「教科書に書いてあることしか信じないから」だそうだ。ふうむ、なるほど。

*1:ただし、発音段階を突破すれば圧倒的に有利だ。なにせ何十年にもわたる膨大な漢字知識の蓄積があるのだから。

*2:少しは揺らいでもいいのでは、と思うときもある。